現実の問題を対処できる、実践的で使える考え方を身につけることが必要

――2020年度から始まる大学入試改革や次期学習指導要領で、「考える力」が重視されています。そもそも、これからの時代になぜ「考える力」が求められているのでしょうか?

森上先生(以下、「森上」) いまは問題を解く「問題解決力」だけでなく様々な視点を持ち込み、問題そのものがどこにあるのかを発見したり、さらには発見した問題を追求したりするといった、「考える力」を伸ばしていくことが求められています。

 従来は問題解決力が重視されていました。それで、例えば入試なら、答えは「1つ」しかなかった。ですから、「覚えていれば解けてしまう」ことが多かったのです。

 しかし現実に起きる問題は、回答項目から1つ選択する「クローズド・エンド型」は少ない。現実の複雑な問題を対処できる、実践的で使える考え方を身につけよう、という流れが強くなってきています。

「考える意欲」を養うためには、小学校入学前が大事

<b>森上展安さん</b><br> 森上教育研究所所長。1953年、岡山県生まれ。早稲田大学卒業。進学塾経営などを経て、1987年に「森上教育研究所」を設立。「受験」をキーワードに幅広く教育問題を扱う。共著に『10歳の選択ー中学受験の教育論』(ダイヤモンド社)がある。「わが子が伸びる 親の技(スキル)研究会」主催(oyaskill.com)。教育相談、講演会も実施している。
森上展安さん
森上教育研究所所長。1953年、岡山県生まれ。早稲田大学卒業。進学塾経営などを経て、1987年に「森上教育研究所」を設立。「受験」をキーワードに幅広く教育問題を扱う。共著に『10歳の選択ー中学受験の教育論』(ダイヤモンド社)がある。「わが子が伸びる 親の技(スキル)研究会」主催(oyaskill.com)。教育相談、講演会も実施している。

――「考える力」を伸ばすなら、いつ頃がいいのでしょうか?

森上 考える力を深めるためには、ボキャブラリーや抽象力が身についた10歳以降がいいでしょう。けれど、 考える素地である「考える意欲」を養うためには、年中・年長の小学校にあがる前の段階が大事です。

 その時期の子どもは母親と一体感があり、母親に安心して依存しています。子ども自身がいろいろなことを 言いたかったり問いかけたり、訴えたりしているときに親が同調してあげると、「何でも言っていいんだな」「何を書いてもいいんだな」「いくら考えてもいいんだな」と思うことができる。

 そんな、「親が子どもを上手に誘導することができる時期」に子どもの欲求をうまく受け止め、刺激が多い環 境を与えておくと10歳くらいになって知恵がついたときに、考える力が伸びやすくなります。

 そういう経験がないままに10歳くらいになって中学受験をはじめると、「失敗するんじゃないか」「自分の考えを言っても間違っているんじゃないか」などと心が委縮してしまい、なかなか伸びません。なぜなら中学受験で与えられる問題は、考えることを促進する問題が多いから。逆に、考えることに対して積極的な子どもは、受験勉強が楽しくなります。

4月から年中さん向け〈こどもちゃれんじ すてっぷ〉詳細はこちら
4月から年長さん向け〈こどもちゃれんじ じゃんぷ〉詳細はこちら