副菜はあえて味を付けず、切るだけ、焼くだけに

五十嵐 そうなんです。例えば煮物や炊き込みごはんなど、和だしだけだと品はあってもちょっと物足りないなと感じるときに、鶏がらだしをプラスすることで味に奥行きと深みが出るんです。カレーにもよく鶏がらだしやオイスターソースを入れますが、いい味わいになります。普段の料理に中華のだしや調味料をうまく取り入れることで、短時間でもグッとおいしくなります。よく煮込んだような深みのある料理ができるのでお勧めですよ。

―― 和だしと中華だしのブレンドとは新しい!! わが家でもぜひ取り入れたいと思います。他にも五十嵐さんの普段の食事作りの中で時短のコツはありますか。

五十嵐 副菜などもう一品足したいときに、何も味付けをせずに、「素材そのものをいただく」ということをよくやっています。例えば、トマトや茄子の輪切りを魚焼きのグリルで焼くと野菜の香りが立って、わざわざ味付けしなくてもおいしいんです。水で戻したわかめもグリルで2、3分ほどあぶると、磯の香りが出て風味が増します。きゅうりなど生野菜をスティック状に切るだけでも十分おかずになりますものね。野菜を切るだけ、焼くだけでしたら、時短にもなると思います。

 それに私自身は、たくさん味を付けることが必ずしも正解じゃないと思っているんです。味のあるものばかりだと体が疲れてしまうし、素材本来の味も忘れていってしまう。素材そのものの味を楽しむためにも加工せず、そのまま出す日があってもいいかなと。

―― 確かに。味付けをし過ぎて、素材の味がよくわからないまま食べるときがしょっちゅうです。

五十嵐 そうならないように、私は調味料の数も絞り込んでいます。わが家にはソース、ケチャップ、みりんがないんですけれど、それでも十分足ります。例えばサラダも、市販のドレッシングを使わず、お味噌に中華だしと油を加えて「味噌ドレ」にするなどして、調味料を上手に組み合わせて使うことを心がけています。

―― 冷蔵庫ってほっておくと使用途中の調味料だらけになりがちです。調味料の数を絞り込むというのは、食材の管理の面でもいいですね。