親がおいしそうに食べていれば勝手に食べるようになる

コウ 特にヨーロッパの家庭では夫婦で完全に分業していて、料理をしない人がお皿のセッティングをしたり、洗い物や後片付けをしたりと、家事の役割分担がきっちりしているんです。しかも料理を作ってくれたことに対して感謝をして、必ず「おいしいね」と褒める。それだけでも料理を作ったかいがあるし、苦労が報われますよね。

―― 「何も言わずに黙々と食べるのはおいしい証拠だ」というパパもいますが、「褒めない、ねぎらわない」のはある意味失礼に当たるのかもしれませんね。夫婦で完全に家事を分担できたら、ママにとってはかなりの時短になりますが、その分パパも夕飯までに帰ってこなくてはいけなくなりますね。

コウ そうなんですよ。これはもう社会全体の「働き方改革」に話が及んでしまいます。でも、僕自身、海外の数多くの家庭や食卓を見てきた経験があるので、日本人男性の働き方をはじめ、家事・育児の分担に対する意識の改革に貢献できればと思っているんです。

―― それは素晴らしいですね。ぜひ応援したいです! ところでコウさん、日々のごはん作りでもう1つ頭を悩ませていることがあるんですけれども。それは「子どもが食べてくれない問題」です。特に子どもが野菜嫌いだとどうやって食べさせたらいいか、あれこれ悩んでいる親御さんは多いと思うんです。

コウ 確かに悩みますよね。ただ、野菜が苦手な子どもになんとか食べさせようと努力するのって、結局徒労に終わる気がしていて。うちの子たちも野菜が苦手であまり食べてくれないんですけど、学校の給食や外食だと食べるので、「もうそれでよし」とすることにしました。家だと食べなくても外で食べるなら、それは社会性があるという証拠だし、1日のうち1食でも食べるならそれでオッケーじゃないかと。食べないものを毎日食卓に出し続けるのは親も子もストレスになって、食事そのものが苦痛になりかねないと感じます。

―― 無理に食べさせようとしなくても、いつかは自然と食べるようになりますかね?

コウ 親がおいしそうに野菜を食べる姿を見せていれば、そのうち勝手に食べるようになるのではないでしょうか。

―― コウさんのその言葉で心が軽くなる親御さんは多そうですね。

コウ 食べられる野菜が1つでもあるなら、それを毎日出し続けてもいいと思うんですよ。ブロッコリーが食べられるんだったら、それをおかずやお弁当に毎回登場させる。今日はブロッコリーのおひたし、明日はナムル、明後日は胡麻和(ごまあ)えなど、1種類の野菜でも味のバリエーションを持たせれば飽きずに食べることができますしね。それだけでも僕、すごい努力だと思いますよ。あとは、わが家でよくやっていることなんですが、子どもに晩ごはんのメニューを考えさせること。「今日は何食べたい?」と聞いて、「唐揚げ!」と答えたら、子どもも言った手前、責任を感じてちゃんと食べてくれますから。

―― それはいいアイデアですね! 親もたまには自分が食べたいものを作りたい時もあると思うんですが、そういう場合はどうしたら?

コウ たとえば「○曜日はママのリクエストを聞いてもらう日だよ!」と、家族全員持ち回りで自分の食べたいものをリクエストする日を作ってみるのはどうでしょうか? イベントみたいにすると子どもは喜びますし、前もってメニューを予告しておけば、子どもも受け入れて食べてくれるものです。

 子どもって、普段の食事はなかなか箸が進まなくても、パーティーっぽく串に刺したり、お弁当に入れたりするだけで、ひょっこり食べてくれたりする。子どもの食欲や味覚は本当に気まぐれなので、そこに振り回されないことが大事かなと思います。ぶっちゃけ、3食みっちり食べなくても子どもは育ちます。そのぐらいのゆとりある気持ちで「食」と向き合うほうがおいしく食べられますし、食卓もハッピーになるんじゃないかと思うんです。

―― 次回はコウさんに20分で作る晩ごはん、魚焼きグリルで簡単に焼ける「鶏のしょうゆ漬けグリル」と「トマトと厚揚げのアジアン炒(いた)め」の作り方をご紹介いただきます!

取材・文/伯耆原良子 写真/庄司直人