日本ほど、手作りの家庭料理にこだわる国は少ない

コウ はい、毎晩同じようなメニューをリピートしてもいいぐらいです。仕事から帰ってきて全く時間がない時は、主菜1品だけでもいいし、副菜は出来合いのものを買ってきたらいいんです。僕はよく海外ロケで現地の家庭を取材することが多いんですが、台湾、香港、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどのアジアの国々は安くておいしいお店が多いので、毎晩外食する家庭がほとんどなんです。ヨーロッパの人たちも、平日は冷凍食品やデリで買った総菜などを食べるので、料理を作らない家庭が多いですよ。

―― そうなんですか。おかずにお弁当……手を変え、品を変え、毎日何品も手作りしているのは日本ぐらいなのでしょうか?

コウ 日本ほど手作りの家庭料理にこだわっている国は少ないでしょうね。料理に時間をかけるよりも、その分「家族と一緒にくつろぐこと」「自分のための時間を持つこと」を大切にする。そんな価値観が海外の国々にはあるように思います。

―― なるほど。ただ、家事を手抜きしておいて「自分のための時間を持つ」というのは、ちょっと気が引けてしまいそうです。

コウ 海外の人たちは、「家族が幸せになるためには、まず自分が一番に幸せにならないといけない」という考え方が根本にあるので、日本人にありがちな「自分よりも家族の幸せが一番」という考え方とは正反対なものになるかもしれませんね。

 今、日本では料理の簡単レシピや時短テクニックが数多くあふれていますが、実際に料理を作る人の負担が減ったかと言うと決してそうではありません。相変わらず、買い出しから食事作り、後片付けとママ一人の肩にかかっているケースが非常に多いです。例えば、共働きママが仕事後にジムに行って身体を鍛えたり、趣味や学びの時間を持ったり、友達と飲みに行ったりなど、「自分のための時間」を持つなんて、とてもできないのではないでしょうか。一方、パパは「仕事の付き合い」という名目があれば、夜飲みに行ったり、出掛けたりするのは許される空気感がある。そこに不公平感を覚えているママは多いんじゃないかと思うのです。共働き家庭における料理の一番の時短テクニックは「家庭内での料理の分業」だと思いますよ。