材料の切り方や道具の選び方次第で、さらに時短に! 

きじま 「材料を切る順番」を気を付けると、確実に時短につながります。最初にお肉やお魚から切ってしまうと、次の材料を切る前にまな板を除菌しなくてはなりませんから、時間がかかってしまいます。調理中は、まな板はなるべく洗わずに、連続して使いたいですよね。となると、最初に「生で食べる野菜」から切っていくと効率がいい。①生で食べる野菜 ②加熱する野菜 ③お肉やお魚、という順番を意識して切っていきましょう。また、野菜は生でも加熱用でも、「みじん切り」を後回しにしたほうがいいですね。例えば、パセリのみじん切りを先にしてしまうと、まな板が緑色になったり、細かい葉が隙間に挟まったりと洗うのも一苦労ですから。輪切りやざく切りから始めて、みじん切りなど細かく切るものは後に回したほうが効率的です。

この順番で切れば、途中でまな板を洗わずに済む!

1 生で食べる野菜を切る(みじん切り以外)
2 加熱して食べる野菜を切る(みじん切り以外)
3 生で食べる野菜を切る(みじん切り)
4 加熱して食べる野菜を切る(みじん切り)
5 肉や魚を切る

※加熱の順番によっては遵守する必要はない

―― 確かに! 切る順番に気を付けるだけで、だいぶ手間が減りますね。

きじま 切った材料はどんどんバットに入れて整理していくと後が楽ですが、バットを持っているご家庭も少ないでしょうし、キッチンもいっぱいになってしまうので、「ビニール袋」をうまく活用するのがおすすめです。ビニール袋に切った材料を入れて並べておけばサッと調理できますし、バットを洗う必要もありません。時短から話が少し逸れますが、キッチンが狭い方は小さいまな板が重宝しますよ。まな板が大きいとスペースを占めてしまい、かえって作業がしにくくなるので、小さいまな板のほうが楽に進められる場合もあります。

―― なるほど。ストレスを減らすためにも重要なポイントですね。ちなみに、焼いたり、煮たりといった加熱調理をする際の時短のコツは何かありますか?

きじま フライパンに材料を入れすぎないことですね。一般の家庭では26㎝のフライパン(2~3人分)を使うのが一般的だと思いますが、4人分を一気にいためる場合は、28~30㎝の大きめのフライパンを使ったほうが、表面積が増えるのでその分早く仕上がります。早く作りたいからと、サイズの小さいフライパンに材料をいっぱいに入れて炒めようとすると、熱の伝導力が落ちてしまうので、かえって非効率に。いい具合に焼けたりするまでに倍の時間がかかってしまう可能性があります。大きいサイズのフライパンがないなら、2回に分けていためるといいですね。新たに買う場合は、サイズだけでなく素材も意識して、鉄やステンレスなど、熱の伝導のいい素材のフライパンを選ぶといいかと思います。

「フライパンに入れる具材を減らすと早く火が通り、時短につながります」(きじまさん)
「フライパンに入れる具材を減らすと早く火が通り、時短につながります」(きじまさん)

「わが家の定番の献立」を作っておく

―― 普段、使っている道具を見直すことも時短につながるのですね!

きじま一つ一つはちょっとしたことかもしれませんが、積み重なれば時間の節約になります。また、僕が強くおすすめしたいのは、「定番の献立」をいくつか持っておくこと。どれほど準備をしていても、初めて作る献立は時間がかかってしまうもの。同じ献立を何度も作ると、手順が頭に入るので、確実にスピードアップします。それにパパッと作れる定番の組み合わせがあると、「今日は何も思いつかない」という時にも安心です。2週間に1回ぐらい、同じ献立が出てきちゃっても何の問題もない。それが家庭料理のいいところだと思います。繰り返し作ることで、それが“わが家の味”になっていくんだろうなと思います。

―― ありがとうございました。次回は、きじまさんに「ロール豚のガーリック照り焼き」「ホットレタスのしらすゴマドレサラダ」「溶くだけ味噌汁」からなる、とっておきの夕ご飯レシピを教えていただきます。ご期待ください!

(取材・文/伯耆原良子、写真/高田浩行)

きじまりゅうた
料理研究家。1981年生まれ。祖母は料理研究家の村上昭子、母も同じく料理研究家である杵島直美という家庭に育ち、幼い頃から自然と料理に親しむ。立教大学卒業後、アパレルメーカーを経て、料理研究家の道に。杵島直美のアシスタントを務めて、独立。書籍や雑誌、Web、テレビを中心に活躍。男性ならではの視点で手早くおいしいアイデアレシピが人気。近著に『きょうも明日も炒めもの』(学研プラス)など、著書多数。公式HPはこちら