おかずを主役・脇役に見立ててキャスティングすると、自然とバランスがとれる

きじま 映画やドラマのキャスティングのように、まずは「主役(主菜)」から決めていきます。「今日の主役は鶏の唐揚げがいいな」とか、「豚肉のいため物がいいな」というように。主役を何にするかを決めたら、次に「脇役(副菜)」のメニューを考えていきます。例えば、主役を「豚肉の照り焼き」にしたとしましょう。それってどんなキャラ(味)かというと、甘辛味でこってりとしていて、肉々しい感じですよね。だとすると、「副菜はシャキシャキしてさっぱりと食べられる野菜サラダにしよう。ドレッシングは酸味があるものがいいかな」などと、甘辛くてこってりした味の“逆”を取っていくんです。副菜は主菜と真逆のキャラに設定すると、味や食材、栄養のバランスも取れやすくなります

―― なるほど。そうやって主役(主菜)から考えると、脇役(副菜)も決めやすいですね! 献立が決まったら、材料を買っていよいよ調理に入ると思うんですが、ここでいつもの“手グセ”で作り始めてしまうとやっぱりロスが生まれてしまうということですよね?

きじま そうなんです。なんとなく主菜から作り始める方って多いと思うんですが、場合によっては他の調理から先に始めるほうが時短になることもあるんです。最初に取りかかるといいのが、「完成までに時間がかかるもの」です。例えば、オーブンを使う料理があったら、先に予熱設定をしてくことが大切になりますし、野菜やパスタをゆでる調理があるなら、先にお湯を沸かすところから始めたほうが早かったりします。予熱したりお湯を沸かしたりするのって意外と時間がかかりますからね。その日に作る予定の献立の中で、「何に一番時間がかかりそうか」を見極めて、その作業から先に取りかかると、主菜や副菜などすべての料理がほぼ同時に完成できます。

―― 同時に完成できたら効率的ですね。手順など、何か紙などに書いておいたほうが分かりやすいでしょうか?

きじま おっしゃる通り、手順も紙に書くのがおすすめです。僕も頭の中だけだと手順が分からなくなってくるので、簡単に作り方のポイントと必要な材料を紙に書いて、作り始める前にザーッと最後まで目を通して取りかかる順番を考えるようにしています。

―― プロの方でもそうなんですか。「書くと手間がかかるのでは?」と思っていましたが、事前に書いて流れを整理しておいたほうが、結果的に短時間で終わるんでしょうね。日中のランチタイムや仕事の休憩時間などにササッとメモしておけば、帰宅後スムーズに調理が始められそうです。他にも、きじまさんおすすめの時短のコツはありますか?