人手不足と生産性向上の必要性から、「働き方改革」が進んでいます。この4月からは「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が順次施行され、効率的な働き方がさらに求められるようになります。 企業が従業員の健康を配慮することで経営面でも大きな成功が期待できるという考えから、健康経営に取り組んでいる企業も増えています。第6回では、注目される健康経営を取り上げます。

【脱! ざんねんな働き方改革特集】
(1) 働き方改革は8割浸透 でも「ざんねん」も満載
(2) ツールや制度導入だけではダメ 仕組み変える意識で
(3)  長時間労働対策「21時になったら電気消す」は×?
(4) 人材育成「新人は気合で覚える」は× 解決策は?
(5) 男性の育休取得、「2、3日有給消化」だけでは単なるお仕事体験 
(6) 健康経営「休養室が宿直室」は× 眠りで生産性向上 ←今回はココ

  
こんな働き方改革は残念!

ここが残念!
休養室が泊まり勤務の宿直室になっている
休養室は体調不良の場合や、効率アップのお昼寝に使おう

ここが残念!
健康促進のため、日曜に開催される職員ソフトボール大会への参加が義務付けられている 
義務付けでの休日返上はおかしい

 

  働き方改革を阻む要因として“社員の不健康”が挙げられます。社員の不健康化が進んで、疾病や不調などで突然の欠員が増えると、他の社員が業務をカバーすることになるので、社員の長時間労働やオーバーワークなどが起こりかねません。また、社員の不健康化で職場に疲弊感が漂うと、個人の仕事へのモチベーションが保ちづらくなり、部署全体のパフォーマンスの低下にもつながります。このように、社員が不健康であることは、生産性の低下、業績低下につながる可能性があるといえます。

 働き方改革のなかで、健康経営を推し進めている企業も多く見られます。ワークライフバランスに詳しい中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹さんは「柔軟な働き方をするのに、健康経営は不可欠です」と話します。「特に ストレスチェックを導入している企業は増えていますね。また、女性の場合、ホルモンバランスで仕事のパフォーマンスが変わる側面が大きいですので、 女性のヘルスリテラシーに注目をする取り組みなどもいいと思います」

 NPO法人ファザーリング・ジャパン理事で、東レ経営研究所・上席シニアコンサルタントの塚越学さんは、「健康経営に関しては各社がいろいろを取り組みをしています。経済産業省も健康経営銘柄の選定 をするなどして、健康を後押しています」と言います。

 しかし、今回行った読者アンケートでは、働き方改革で健康経営を回答してくれたのはわずか8.5%でした。具体的に見ると、早朝勤務への朝食代補助など、食生活面で支援している(4%)、業務効率化のためパワーナップ(昼寝)制度の導入(2.3%)と回答がありました。

 健康経営でさらに深い取り組みをしている企業の事例を次のページから紹介します。

<次のページからの内容>

●社員の健康を経営の最優先事項とするCRAZYの取り組み
●社員の平均睡眠時間が3カ月で33分増加
●玄米や有機野菜など自然食のランチを無料提供
●キッズルームにナニー常駐、子連れ出社ウエルカム
●就労時間内の昼寝で仕事の効率をアップさせる企業が登場