子どもの安全を守り、大人も快適に過ごせる住まいに

 室内では、先に紹介した玄関のデザインをはじめ、感電を防ぐ扉付きのコンセントや指を挟みにくい折れ戸、ぶつかった際の大けがを防ぐ壁コーナーのR加工などをオプションとして用意。子育て世帯の多いエリアの物件でニーズが高いという。

 「小さい子どもがいる状況はずっと続くわけではないので、あまり作りこみ過ぎても将来はかえって邪魔になります。例えばサッシのチャイルドロックや階段のゲートといったものは、各世帯で後付けするほうがいい。4歳くらいまでの子どもが安全に過ごせて、かつ大人も使いやすい、かゆいところに手が届くデザインを念頭に置いています」と今井さん。

 さらに、戸建てにはないマンション特有の危険が潜んでいるのが共有スペースだ。エントランスの自動扉、機械式駐車場……。多くの人が行き交う空間でもあるため、動線を妨げることのないよう考慮しながら安全対策に取り組んでいる。

 当然ながら、デザインですべての危険が回避できるわけではない。だからこそ、まずは大人がどこにどんな危険があるかを認識し、子どもを近づけないよう気を配ることが必要だ。同社では啓発活動の一環として、子どもの安全に関するリーフレットを作成。マンション引き渡しの際に、注意してほしい点を伝えるようにしている。

動物になりきって、環境問題を話し合う

 最後に紹介するのは、子どもたちが発想力とコミュニケーション力を駆使しながら、地球の環境や未来について話し合うプロジェクト「せかい!動物かんきょう会議」(以下、「動物かんきょう会議」)。 「日本の子どもたちが世界中の子どもたちとともに持続可能な開発目標(SDGs)を考えるきっかけとなり、かつコミュニケーション力育成にもつながる優れたプログラム構成」と評価され、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門で消費者担当大臣賞(優秀賞)を受賞した。

 プロジェクトは、1997年の地球温暖化防止京都会議をきっかけにスタート。タヌキのタック(日本)、ワニのワニール(ブラジル)、ハリネズミのハリィ(ドイツ)など、世界各国に住む動物のキャラクターたちが環境問題について話し合うというコンセプトで、絵本やアニメーションが制作された。動物たちには「大学卒業後に人材派遣会社に就職したけれど2年で退職し、現在自分探し中の26歳(タック)」「故郷のアマゾンを焼き畑で焼失し、仕事を求めて一家で街へ出てきてトロリーバスの運転手をしている(ワニール)」「光学機器メーカーに勤める29歳。自然をこよなく愛し、環境先進国と言われるドイツを誇りに思っている(ハリィ)」など、詳細な「人物設定」がなされている。

 2010年にアニメがNHK教育テレビで放送されたのをきっかけに、小学校高学年~中学生の子どもたちが動物になりきって話し合いをする「リアルな会議」へと展開。これまで東京都内の公立小学校の授業や公益財団法人と組んだイベントなどでワークショップを行ってきた。