やってはいけない、クールビズの注意点

―― クールビズで、やってはいけない注意点はありますか?

MB 「ジャケットを脱いで、ネクタイを外すということは、カジュアルと一緒なんだ」と思って、チノパンをはいたり、カラフルなボタンのシャツを選んだりするのは間違いです。スーツに近いジャンルだから、なるべく正解に近づけてほしい。だから、色はモノトーンで抑えたり、シャツはなるべく無地の白シャツを選んだりするべきです。思いっきりオーセンティック(正統)なスタイルからネクタイだけは外したといったコーディネートのほうが、変にゴチャゴチャするよりも、シュっと引き締まって見えます。

 もう一つ注意が必要なのは、サイズ感です。体にしっかりと合うように気を付けてください。オーダーで作るときは採寸してもらえますが、セレクトショップでつるしの洋服を買うときは、動きにくくはない範囲の限界ギリギリまで細いサイズを選びましょう

―― シャツは無地の白シャツということですが、時には柄モノも着たくなると思います。その際の選び方はどうしたらいいですか?

MB 柄モノのシャツを着る場合は、チェックよりストライプを選んでほしいですね。チェックは縦と横のラインがあるので、カジュアル要素が強くなってしまうからです。シンプルがスーツの大原則なので、色も多色使いのストライプじゃなくて、単色のストライプのほうがビジネスライクです。

―― 半袖と長袖は、どちらのほうがいいとかありますか?

MB 半袖もシャツの本来あるべき姿を省略したものなので、オススメしません。それなら長袖で腕をまくったほうがいいと思います。このとき、防シワ加工とか吸水速乾とか、機能性があるシャツを選ぶと便利です。

―― バッグについては何かありますか?

MB 洋服は、実用性を求めるとやぼったくなるし、美しさを求めると実用性が損なわれていきます。その構造はトレードオフの関係。そこでどうバランスを取るかは、その人それぞれですけど、やっぱり欲を言えば、すらっとしたレザーのブリーフケースみたいなのを持っていると、引き締まって見えますね。

―― 「なるべく崩さない」という原則に照らすと、やはりジャケットは脱がないほうがいいのでしょうか?

MB 着ておいたほうがいいのは確かですが、日本の夏の暑さを考えればジャケットを脱ぎたくなる気持ちは分かるので、脱いでもカジュアルになり過ぎないように、やはり無地の白シャツを選んでおいたほうがいいでしょうね。「無地だと地味になるんじゃないか」と思われる人が多いのですが、スーツは本来すべて無地。ネクタイだけに柄を付けるのがあるべき姿です。クールビズであっても、基本的に正解は無地なんです。

 そもそも、地味かどうかを心配する発想自体がカジュアルの世界の話。変なことを考えずに、とにかくシンプルにまとめてください。くれぐれもサイズ感だけは注意してくださいね。

中は白の無地シャツに。「とにかくシンプル」が正解(写真はイメージカット)
中は白の無地シャツに。「とにかくシンプル」が正解(写真はイメージカット)