メンズファッションをロジカルに解説してくれる、ファッションバイヤー・ブロガーのMBさんに、パパのコーディネート術を聞く本連載。

 独身のころは頑張ってオシャレもしたけれど、結婚して子どもが生まれ、仕事や育児に忙しいDUALパパの皆さん。服をのんびり見に行く暇なんて、ほとんどないかもしれません。それでも、月に一度だけでいいんです。予算を決めて、服を買いに行きませんか?

 買う服の選び方やコーディネートの考え方について、日経DUAL編集部が塾生となり、MBさんに講義してもらいます。妻や子どもたちから「パパ、カッコいい!」と言われるような、オシャレパパを一緒に目指しましょう。今回は6月のコーディネートのノウハウを教えてもらいます。

 MBさんの「メンズファッションの原則」については、こちらから

MBの「パパコーディネート塾」3つのルール
●毎月一度は、服を見に行く日をつくる
●お小遣いの中に“洋服予算”を設定する(5000円~)
●予算は“使い切る”。少なくとも1着は服を買う

革靴は「水に弱い」わけじゃない

日経DUAL編集部(以下、――) MBさんの「パパコーディネート塾」、今回は6月編です。6月といえば梅雨ですね。雨が多いシーズンに気を付けておくことなどがあれば、ぜひお聞きしたいです。

MBさん(以下、敬称略) 5月編ではマウンテンパーカーを紹介しましたが、6月の気候ではちょっと厚手だと思うので、この時期は小さく畳めて薄手の「ユニクロのポケッタブルパーカ」みたいな、持ち運びができるアウターを持っていると便利ですね。肌寒さや、ちょっとした雨が防げます。それ以外で梅雨時期に困るといえば、やっぱり靴ですよね。

―― そうですね。雨の日にどうしても革靴を履かないといけないときは、そのたびに靴をぬらしていいものか、いつも気になります。

MB これは誤解されがちなんですが、革靴は別に水に弱いわけではないんです。雨の日に革靴を履かないようにしている人は多いと思いますが、革靴は水に弱いのではなく、「水にぬれたまま放置されることに弱い」んです。

 より分かりやすく言えば、革靴は人の肌と性質が同じなんです。革靴と人肌のケア方法は全く同じでよくて、例えば女性が使っている化粧水や乳液って、基本的に靴のケアにも使えるんです。

靴用クリームと防水スプレーだけは必需品

MB 革で一番大事なことは保湿です。人肌も、保湿ケアをしないと乾燥して肌が荒れたり、ひび割れたりしますよね。それと同じで、革靴も乾燥し過ぎるとひび割れが起きるので、保湿してあげる必要があるんです。乳液も靴のクリームも、保湿成分は意外と似たようなものなので、靴用クリームがないときは、奥さんから乳液を借りて塗るだけでも全然違いますよ。

 ただ、ぬれたままはよくないからといって、ドライヤーやストーブの前などでぬれた靴を乾かす人がいるんですが、それはアウト。乾燥し過ぎて、ソールがひび割れることがあるからです。乾かし過ぎるのもよくないけれど、ぬれ過ぎるのもよくない。だから、湿気を取ってあげることが大切なんです。

―― なるほど。湿気の取り方にコツはありますか?

MB 本革の靴をぬれたまま放置するとカビが生えるので、とにかくそれを防ぐ必要があります。雨の日に革靴を履いて帰宅したら、まずは表面の水をきちんと拭いてあげる。次に、内部の湿気を取ります。新聞紙があれば、丸めて靴の中に入れて置いておくだけで、湿気を吸ってくれます。しばらく経って「濡れてきたな」と思ったら、新聞紙を取り出してください。その後、風通しのいい日陰があれば、そこで乾かすとなおいいですね。

―― 乾いた後や、日ごろのケアは、どうすればいいですか?

MB 本革の靴用に、2つだけ持っておいてほしいシューケア用品があります。一つは靴用クリーム。靴を乾かした後に、保湿をしてあげてほしいんです。ただ、靴用のクリームって、ツヤ出し用、汚れ落とし用、撥水用、栄養補給用などなど色々あります。でも、まずは万能タイプのオールインワンで十分です。僕もオールインワンしか使っていません。

 例えば、テレビショッピングなどで一時期よく紹介されていたドイツ製の「ラナパー」というオールインワンのクリームがあります。ラナパーは1個3000円ほどで、頻繁にケアする人じゃなければ、かなり長い間持つと思います。ラナパーを使えば、防水性・防汚性があって、ツヤ出しもしてくれる。別にラナパーでなくてもいいですが、オールインワンのクリームをまずは一つ買ってください。

 そしてもう一つは防水スプレーです。防水スプレーを使わない人も多いですが、防汚効果もあり、かなり役に立ちます。出かける前に「今日は雨だな。でも革靴履いていかないといけないな」というときは、ぜひかけてほしいですね。1500円程度で購入できる「コロンブスのアメダス」などがおすすめです。