【2~3万円コース】パドローネ「DERBY PLAIN TOE SHOES」 3万240円(税込)

MB 最後は、本革の靴を紹介します。パドローネの「DERBY PLAIN TOE SHOES」です。

―― お話を聞いていると「もう合皮の靴で十分なのでは」と思いましたが、本革もやっぱりいいですよね。

MB 本革は伸びるので、履いているうちに履き心地が良くなってきて、風合いも出てきますね。ここまで合皮のメリットを伝えてきましたが、やっぱり本革の良さはありますよ。

 このシューズを作っているのは、パドローネというファクトリーブランドです。コムデギャルソンなどのハイブランドの靴を下請けで作っていた工場が、自社ブランドとしても靴を出すようになったということですね。コムデギャルソンの靴は、高いもので7~8万円ほどするのですが、そこにはデザイン費やブランドの広告費などのコストが上乗せされています。コムデギャルソンのようなとがったデザインでなければ、同じくらいの品質の靴が3万円ほどで買えてしまう。それがファクトリーブランドの強みです。

 強いこだわりがあるファッションアディクト(ファッション中毒)であればデザインは重要な要素ですが、普通はシンプルで長く使える革靴が二、三足あれば十分だと思うんです。特に最初の一足であれば、こういうシンプルなものがいいと思いますね。

 これは、デザイン性もちょうどいいんです。本当のビジネス用だと、もっと細いロングノーズに仕上げるのが普通だと思うんですけど、これはちょっとワークブーツ感もあるんですね。シンプルできれいなデザインを意識するとビジネス用に見えてしまうんだけど、これはワークとビジネスのちょうど中間を取っています。休日に履いていても、「仕事用の靴を履いてきたの?」とは言われない。ちょうどいいところのデザインが、非常にツボを得ているなと思います。

―― これが3万円というのは、かなりお値打ちなんですね。

MB これは本来、3万円で買えるレベルの靴ではありません。個人的に興味があって、一時期パドローネの競合になるようなブランド、商品はあるか、探し回ったんです。結果はノーでした。コスパでパドローネに比肩し得るブランドは、今のところないと思います。

 実際、伊勢丹の靴売り場でも相当売れているらしいです。職人さんが数人という小規模でやっている工場なんですが、海外からの受注もすごく多くて、今はもう新規が増やせないくらい生産依頼が来ているそうです。技術があって、安くできるところって、やっぱりどこからも引く手あまたなんだなあと思いました。

 このパドローネは本革なので、冒頭でお話ししたシューケアを忘れずに、大切に履いてくださいね。

「パパコーディネート塾」6月編まとめ
●革靴は水に弱いのではなく、ぬれたまま放置されることに弱い
●本革の靴のケア用にオールインワンの靴クリームと防水スプレーを
●合皮の靴はクオリティーも上がっていて、レインブーツ代わりにもなる
●ファクトリーブランド「パドローネ」は本革靴のコスパでは最高クラス

(取材・文/北野啓太郎、日経DUAL編集部)