メンズファッションをロジカルに解説してくれる、ファッションバイヤー・ブロガーのMBさん。以前、日経DUALの連載「DUALパパのビジュアル向上委員会」のファッション編に登場してもらいましたが、今回はMBさん単独の連載としてスタートします。

 独身のころは頑張ってオシャレもしたけれど、結婚して子どもが生まれ、仕事や育児に忙しいDUALパパの皆さん。服をのんびり見に行く暇なんて、ほとんどないかもしれません。それでも、月に一度だけでいいんです。予算を決めて、服を買いに行きませんか?

 買う服の選び方やコーディネートの考え方について、日経DUAL編集部が塾生となり、MBさんに講義してもらいます。妻や子どもたちから「パパ、カッコいい!」と言われるような、オシャレパパを一緒に目指しましょう。

洋服は「先物買い」が基本

日経DUAL編集部(以下、――) 連載「DUALパパのビジュアル向上委員会」でのロジカルなファッション指南は、読者の反響を呼んだ人気記事となりました。そこで紹介したメンズファッションの大原則「ドレスとファッションのバランスを考える」を前提としたうえで、より詳しいメンズファッションのコーディネートについて伺っていきたいと思います。

MBさん(以下、敬称略) 初めての読者の方は、前回の記事「ユニクロだけでカッコ良く オシャレには原則がある」だけでも読んでいただけると、メンズファッションの原則についてはおおよそ理解してもらえると思います。ただ、ファッションにはトレンドがあり、また日本は季節ごとの気候の変化が大きいので、一度ですべてを解説するのは限界があります。そこでこの連載では、月に一度、その時期に合わせたパパ向けコーディネートの解説をやっていきたいと思います。今は2月なので、今回は3月のコーディネートについてご紹介していきます。

―― 季節ごと、春夏秋冬くらいでもいいのかなと思いましたが、毎月のほうがいいんでしょうか?

MB 洋服って、オンタイムに買いに行くと、売れ残りしかないんです。例えば、春物の服が本当に必要な時期は、4月はまだ肌寒い日があったりして、実際に活躍するのは5月だったりしますよね。でも5月は、春物のリリースはほとんど終わっている段階です。どこのブランドも、春物は2、3、4月で出し終わるのが普通です

―― なるほど。ただ、小ロットのブランドなら人気商品が売り切れるのは想像がつきますが、大型店でも同じなのですか?

MB GU、H&M、ZARAなどは特にそうなんですが、ファストファッションのブランドは毎月大量の新作を出しています。文字通りのファストファッションで、型数が多くて、生産数は少なめ。あっという間に店頭からなくなっていきます。多くの人は、ファストファッションを大量生産品だと勘違いしていて、「いつ行っても同じ商品が並んでいる」と考えがちですが、実は人気商品はすぐに完売するんです。

 このことからも分かる通り、洋服は「先物買い」が基本です。感度の高い人ほど、いち早く新作をチェックしています。良いものを先に見つけて、確保してしまうわけですね。そうすると、「暖かくなったからそろそろ春物を買おうかな」とオンタイムに買う人は、残り物から選ぶことになる。オシャレな人はどんどんオシャレになり、オシャレじゃない人はますますオシャレじゃなくなるという悪循環に陥ってしまうわけです。この負のスパイラルから抜け出すには、早めに服を見に行く必要があるということなんです

―― なるほど…。バーゲン時期まで待ったりすると、いい服があまりなかったりするのはそういうわけだったんですね。

MB 奥さんや子どもとのお出かけのついででいいので、できれば毎月一度は服を見に行く日をつくって、新作をチェックすることを習慣化してほしいと思います。オシャレな人が選ぶ良い商品を手に取って見ることができるので、トレンドを知る勉強にもなります。

 そして、月5000円でもいいんです。お小遣いの中に“洋服予算”をつくってほしい。そしてその予算を“使い切る”ことにしてほしいんです。とりあえず服を見に行く、そして1着は何か買うことをルールにする(購入はネット通販でもOK)。そうすれば、ファッションに対する感度はどんどん上がっていくと思います。

MBの「パパコーディネート塾」3つのルール
●毎月一度は、服を見に行く日をつくる
●お小遣いの中に“洋服予算”を設定する(5000円~)
●予算は“使い切る”。少なくとも1着は服を買う
毎月1回、新作チェックを習慣化しよう!(写真は東京・銀座のジーユー銀座店)
毎月1回、新作チェックを習慣化しよう!(写真は東京・銀座のジーユー銀座店)