【日常生活編】台所で気を付けるポイント カレーを寝かせる場所はココ

◇台所・・・肉を扱ったまな板、包丁は洗い流して

 「肉や魚などの食材には、病原体が付着しているものと考えたほうがいいですね。肉を扱った包丁やまな板は、他の食材を切る前に流水で洗い流しましょう

 また野菜は、丁寧に洗うことが大切です。特に土付き野菜は、汚染されている可能性がありますので、流水できちんと洗うようにしてください。もちろん手もまめに洗うようにしましょう」

◇お弁当箱・・・カビに気を付けて

 夏場のお弁当は傷みやすいので神経を使います。

 「朝作ったお弁当をお昼に食べる、夕方に作ったお弁当を塾で食べるなど、数時間程度でしたらほとんど食中毒の心配はありません。

 高温多湿のところに置いておくと、カビが生えることがあります。たいていの場合、カビを食べても問題になることはありませんが、カビの中には、アレルギーを起こしたり、毒を生産して食中毒の原因になったりするものがあります。洗ったり加熱したりしても、カビ毒が残っていることがありますので、食べ物にカビなどが生えていたら食べないようにしてください」

 腐ったものやカビが生えたものをわざわざ食べることは少ないですが、ブルーチーズやかつお節など、カビを利用した食べ物もありますから、カビの存在は益にも害にもなるようです。

◇カレーなどの煮物・・・一晩置いたらしっかり加熱!

 「カレーを一晩寝かせるとおいしくなりますが、常温で放置するとウエルシュ菌という病原体が増えて食中毒を引き起こす原因になります。シチューなども同様です。寝かせる際にはコンロに置いたままにせず、早めに冷蔵庫に入れましょう。また次に食べる際には、しっかりと火を通してから口にするようにしてください」

 では万が一、食中毒のような症状が表れた場合、どうしたらいいのでしょうか。

 「内科を受診するようにしてください。嘔吐の症状があるときには、受診前に医療機関に電話を入れて指示を仰ぐといいですね。他の患者さんと接触しないようにすることが大切です。

 治療では、整腸剤や吐き気止めが処方されます。症状が酷い場合には、抗生剤が処方されることもあります。

 下痢が酷い場合でも、市販の下痢止めは服用しないようにしてください。病原体を体内にとどめることになるのでNGです」

 食中毒は夏だけでなく年間を通じて、発症するケースがみられます。「この食材には、病原体が付いているかも……」と疑うことが第一歩です。季節を問わず、しっかりと火を通す、洗い流すなど、気を付けて元気に過ごしていきましょう!

忽那賢志(くつな・さとし)
国立国際医療研究センター国際感染症センター・国際感染症対策室医長。国際診療部副部長(兼任)。
2004年、山口大学医学部医学科卒。関門医療センター、市立奈良病院などを経て、2012年から国立国際医療研究センター・国際感染症センターに勤務。テレビや雑誌、インターネットなどのメディアなどで、感染症についての啓発活動を積極的に行っている。趣味はお寺巡りとダニ収集。

取材・文/渡邉由希  写真/PIXTA