新型コロナウイルスの流行により、念入りにせっけんで手洗いをしてアルコール消毒をする機会が増えています。それに関連して手荒れに悩むケース、特に子どもの手荒れは増加しているそうです。手荒れをしにくい洗い方や洗浄剤の選び方、スキンケア方法、受診の目安などについて、ナビタスクリニック立川・皮膚科医の佐藤典子さんに聞きました。

せっけんの化学成分が残っていると、手荒れの原因に

 「例年12~2月の気温や湿度が低下する時期は、大人も子どもも手荒れをしやすく、春めいてくると症状が落ち着く傾向があります。しかし今年は、3月に入ってからお子さんの手荒れの訴えがとても増えています」とナビタスクリニック立川・皮膚科医の佐藤典子さんは言います。

 「原因として考えられるのは、せっけんの洗い残しです。新型コロナウイルスの感染予防のためにしっかり手洗いをする子が増えましたが、せっけんの化学成分を十分に洗い流せていないケースが多いためではないかと推察します。しっかりと洗い流すことができれば、これほどまでに手荒れを訴える子は増えないのではないかと思います」

 どうしてせっけんによる手洗いで、手が荒れやすくなるのでしょうか。

 「せっけんは、皮膚に付いた汚れや細菌やウイルスを洗い流すと同時に、皮膚のバリアー機能を保つ角質や皮脂も落としてしまうからです。バリアー機能とは、角質層がバリアー(ふた)となって、皮膚の中の水分が外に出ていってしまうのを防ぐ仕組み。細菌やウイルスなどの異物の侵入も防いでいます」

 つまり、手荒れが進むと、このバリアー機能の低下でウイルスなども侵入しやすくなってしまうということ。では、ウイルスの感染を予防しながら手荒れをしないようにするには、どのように洗えばいいのでしょうか。

子どものすべすべな手を守りたい(写真はイメージです)
子どものすべすべな手を守りたい(写真はイメージです)