手洗いをしたら保湿をセットにする

 「せっけんで壊れやすくなるバリアー機能を維持・回復するには、とにかく保湿です。私自身も仕事柄、かなり頻繁に手洗いをしますが、2~3回手を洗ったら、保湿剤を塗るようにしています。保湿剤としてお薦めなのは、成分としてヘパリン類似物質や尿素、ワセリンなどが配合されているものです。市販品にもありますから探してみてください。

 寝ている間が皮膚の修復をする一番のチャンスです。保湿剤を手に塗るとベタベタするので嫌がる子が多いですが、最低限、就寝前にはたっぷり塗ってあげてください。どうしても嫌がるなら、お子さんが寝てしまった後に塗ってあげてもいいですね。

 理想は、お子さんと手洗いをした後、一緒にハンドクリームを塗るとう習慣を付けることです」

 どのような症状があれば、皮膚科を受診したほうがいいのでしょうか。

 「ハンドクリームをしっかりと塗ったのに、赤みやかゆみが数日たっても治らないときは受診してください。

 手は、人の皮膚の中でもかなり厚みのある部分です。手荒れがひどい場合にはステロイドの外用薬などを一定期間、決められた量をしっかり塗って炎症を抑えないと、なかなか良くなりません。ステロイドは年齢や症状などによってその強さと使用量を調整しています。安心して使用してください。

 手荒れの状態だと生活を送る上でつらいですし、ウイルスなども手に残りやすくなってしまいます。できるだけ短期間で治しましょう」

 子どもが使いたくなるようなクリームを、一緒に探すのも楽しいかもしれません。親子で「手洗いの後は保湿」を習慣にして、手荒れを防ぎましょう。

佐藤 典子
ナビタスクリニック立川 皮膚科専門医
2004年、佐賀医科大学卒業。杏林大学医学部付属病院にて初期研修の後、2006年に同皮膚科学教室に入局。杏林大学医学部付属病院、公立阿伎留医療センター勤務を経て、2015年よりナビタスクリニック立川にて診療開始。

取材・文/渡邉由希 イメージ写真/PIXTA