国内で感染が広がり始めた新型コロナウイルス感染症。子育て中の家庭は子どもへの感染の予防のためどんなことに気をつければいいでしょうか。現在分かっている情報と必要な対策を、小児感染症の専門家で東京医科歯科大学大学院教授の森雅亮さんに聞きました。2020年2月7日と13日に日本感染症学会・日本環境感染学会主催の緊急セミナー「新型コロナウイルスへの対応」で発表された情報と併せてお伝えします。
※この記事は2月17日時点の情報に基づいています。

病原性は、インフルエンザよりやや強い程度か

 コロナウイルスは、もともと風邪の病原体として見つかったウイルスです。その中から過去には、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)といった病原性の高いウイルスが出現しました。

 新型コロナウイルスがどの程度の病原性を持つのかは、現在慎重に検討されていますが、“季節性のインフルエンザ相当か、やや強い程度”ではないかと考えられています。(日本感染症学会・日本環境感染学会発表資料より)

 国立国際医療研究センター病院で新型コロナウイルスに感染した患者を治療している医師の大曲貴夫さんは、「患者さんの症状は、1週間程度の感冒(風邪)のような症状が続いたあと、肺炎を発症するという経過をたどるケースが多い」と言います。また「だるさ(倦怠〔けんたい〕感)が長く残るのも特徴で、インフルエンザや風邪とは、症状の進行時期がずれていることが多い」とも解説します。

 同じく国立国際医療センター病院で治療にあたる医師の忽那賢志さんによると、「重症化しやすい人(ICU:集中治療室に入室している人)は高齢者、持病のある人で、男女差はありませんでした妊婦さんや免疫抑制を行っている人も重症化しやすいので気をつけてください」と話します。

 東京医科歯科大学大学院教授の森雅亮さんは、「今のところ、SARSやMERSのような高い病原性はないのではないかと見られています。新型コロナウイルスの病原性は、季節性インフルエンザ相当か、あるいはやや強いくらいではないでしょうか」と話します。

 では新型コロナウイルスから、子どもを守るためには、どのような対策が有効なのでしょうか。家族みんなでできることを紹介します。

写真はイメージです
写真はイメージです