インフルエンザが猛威をふるい、多くの小学校では学級閉鎖や学校閉鎖も始まっています。保育園っ子も、インフルエンザにかかってしまうと保育園に登園ができず、仕事と看病であたふたしてしまう親御さんも多いことでしょう。共働き核家族にとっては、子どもはもちろん、パパやママもインフルエンザにかかってしまうと死活問題です。そこで、子どもやパパママがインフルエンザにかかったときの受診や治療の仕方、家庭内での看病のポイント、これ以上の感染を防ぐための方法などについて、マーガレットこどもクリニック(東京都渋谷区)の田中純子院長に聞きました。

つらい症状が続くときは市販の子ども用の解熱剤を使ってもいい

日経DUAL編集部(以下、――) 子どもから大人までインフルエンザにかかる人が増えています。この流行はいつごろまで続きそうでしょうか。

田中院長(以下、敬称略) 例年、1月から2月にかけてが流行のピークですが、年によっては2月の終わりくらいにまたはやることがあります。現在流行しているのはA型インフルエンザですが、このA型がおさまってきた頃にB型インフルエンザがはやりだす可能性があるのです。なかにはA型にかかった後、B型に感染する人もいますから、油断はできません。インフルエンザの季節はもう少し続きそうですね。

―― 子どもがインフルエンザにかかったかも……というときは、すぐに医療機関へ連れて行ったほうがいいのでしょうか。

田中 例えば、お子さんが熱を出して、保育園からお迎えのコールが来たような場合、子どもを家に連れて帰る途中に受診したとしても、インフルエンザにかかっているかどうかは分からないことの方が多いんです。インフルエンザの検査は、一般に発熱から12時間以上たっていないと正確な診断ができないといわれています。当院の場合は、もう少し早く6時間後くらいで分かる機器を使っていますが、いずれにしろ、あまり早すぎると検査では「陰性」と出てしまい、翌日にもう1回来てもらって検査をすることもあるのです。もっとも、家族がインフルエンザにかかっていて、症状からしても明らかにインフルエンザだと分かるような場合には、検査をせずに診断を下すこともあります。

―― 慌てて受診しなくても、少し様子を見てからでもよいということですね。

田中 はい、一晩くらいは様子を見てもらっても大丈夫です。ただし、これは明らかに様子が変だというときは、急いで受診してください。例えば、けいれんが止まらない、家族のことが分からなかったり意味不明な言動をしたりして意識が明らかにおかしい、水分が全く取れなくてぐったりしている。おしっこが少ない、泣いているのに涙が出ないなど脱水症状がある、ゼイゼイと息苦しそうな呼吸をしている、犬がケンケンと吠えるような普段とは違ったせきをしている(専門的には「クループ」といいます)……というような場合ですね。

―― そのような症状がなくても、高熱が出ると心配になります。市販薬は使っても大丈夫ですか?

田中 私たち医師がお子さんに解熱剤を出すのは38度5分が目安ですが、それを超えて40度になったとしても、 そこそこ元気で、そこそこ眠れて、そこそこ水分が取れていれば、どんなに熱が高くても解熱剤は使わなくて大丈夫です。ただし、熱が高く、つらくて眠れないとか、頭がすごく痛いとか、発熱に伴って出てきたつらい症状を和らげるために、市販薬をちょこっと活用するのはOKです。ただし、必ず子ども用の薬を使うようにしてください。

―― 治療ではどんな薬を使いますか?1回の服用で済む「ゾフルーザ」という新しい処方薬が注目されていますね。