処方薬は、子どもが“飲めるかどうか”で決める

田中 現在、インフルエンザの薬は4種類あります(表)。いずれもインフルエンザウイルスの増殖を抑制するもので、発症後48時間以内に使用すると効果が期待できます「タミフル」と「ゾフルーザ」は飲み薬、「リレンザ」と「イナビル」は吸入薬です。子どもの場合は、薬をちゃんと飲み込めなかったり、飲むのを嫌がったりすることもありますから、親御さんと相談してどの剤型の薬にするかを決めています。

 ゾフルーザは1回の服用で済むのが大きな特長ですが、服用が1回ですので、確実に内服できるお子さんが対象となります。私の子どももそうですが、薬を飲むのが大変というお子さんは多いですね。その点、「1回だけ頑張れば、おしまい」、というのは子どもにとっても親にとっても助かりますね。

 ただし、ゾフルーザは2018年に発売された新しい薬ですので、まだよく分からない点があるのも事実です。つい最近も、服用した患者さんからこの薬に効きにくい耐性ウイルスが見つかったという報告がありました。今後のデータにも注目しつつ、慎重に使っていきたいと思います。

―― タミフルはどうでしょうか?以前、異常行動との関連が指摘されましたが。

田中 1回で確実に飲めそうにないお子さんには、タミフルをお薦めしています。1日2回、5日間服用する薬です。インフルエンザはいったん熱が下がっても、また発熱することがありますから、最後まで飲み切ることが大切です

 タミフルは服用後の異常行動が報告され、厚生労働省では10代への投与を原則中止していましたが、因果関係がはっきりしないということで、昨年から10代に対しても投与が再開されています。以前は報道などを見て、この薬を怖がる親御さんもいましたが、最近はそのような例は減っていますね。そもそも異常行動はインフルエンザそのものによっても起こりますから、どの薬を飲んでいようと異常行動を起こす可能性は否定できないんです。

―― 処方薬を飲むと、どのくらい早く治るのでしょうか。

田中 インフルエンザは多くの場合、3~7日で自然によくなる病気です。もちろん、薬を使わずに経過を見ることも可能です。抗インフルエンザ薬を使った場合は、1日早くよくなるといわれています。「たったの1日?」と思う人もいるかもしれませんが、働いているDUAL世代の親御さんたちには、その1日が結構大きかったりします。「1日」といっても平均1日ですので、なかには長引くお子さんもいれば、薬ですごく早くよくなるお子さんもいます。そのあたりをまずは説明しますが、薬を希望される親御さんが多いですね。

■病院で処方されるインフルエンザの薬の種類と特徴

―― 家庭で看病するときは、どんなことに気を付けたらよいですか?