小学校入学に当たって共働き家庭がぶつかるという「小1の壁」。近年よく聞かれるようになりましたが、それがどんなものなのかいまいちよく分かっていない…。そんな保育園児の子を持つママ、パパは少なくないのではないでしょうか?

特集の最終回となる今回は、まさに今「小1の壁」を経験している、過去に経験したというママ・パパたちに、最近の公立・私立の小学校における学童事情や、キャリアを守るために早くからやっておくべきだったと後悔していることなどについて語ってもらいました。

【親のキャリア、学童、防犯… 「小1の壁」の乗り越え方特集】
(1) 「小1の壁」は住む街で違う? 自治体「学童」調査一覧
(2) 年長の春から早めに準備 学童の見学とTO DO
(3) 入学後の壁と「年長春→小1夏」スケジュール&準備
(4) 小1の防犯対策 子どもは不審者を見分けられない
(5) 「学童の壁」 事前の備えと指導員との情報共有が鍵 ←今回はココ

座談会参加者(氏名はいずれも仮名)

佐藤さん(フリーランス):東京都・杉並区在住。年長女子のママ。公立小学校入学に伴い、近くの学童保育を希望するも厳しい状況だと言われている。「小1の壁」をリアルに感じ、今後の働き方も含めて検討中。

宮田さん(事務職):東京都・足立区在住。小4女子と年中女子のママ。もともとブライダル関係の仕事で土日も関係なく働いてきたが、下の子の出産を機に退職。現在はパートとして働きながら、週2日は区が運営する放課後子ども教室に勤める。

鈴木さん(フリーランス):東京都・渋谷区在住。年長男子のママ。4月の小学校入学を前に、周囲のママ友情報による小学校や学童情報に戦々恐々としている。祖父母を頼ったり、民間学童保育に通ったりすることもできず最善の方法を探っている。

菊池さん(医療関係職):埼玉県在住。小1長女と3歳児のママ。勤務医。昨年度、長女が私立小学校に入学し、小学校内にある学童保育に週3日通っている。残りの2日間は公文や書道等の習い事へ通っている。夫は単身赴任先で平日を過ごしており、毎日ワンオペで実家のクリニックにフルタイム勤務。

土井さん(自営業):東京都・狛江市在住。高1女子と中2男子のパパ。飲食店経営。専業主婦だった妻は、長女が小3のときにパート(事務職)に出始め、その後、正社員となる。それに伴い一時的な子どもの「不安定期」を経験。

学童に入れないかもしれない

編集部(以下、――) 今回の特集では、共働き夫婦がキャリアの継続を含め壁に直面する「小1の壁」の実態を紹介してきました。この座談会では、実際に皆さんが経験したリアルな「小1の壁」についてお話しいただきたいと思いますが、佐藤さんと鈴木さんのお子さんは、4月から小学校に入学される予定です。現時点で壁を感じることはありますか?

佐藤さん(以下、佐藤) うちは今、まさに壁に直面しています。4月から学童保育に入れるかどうか分からないんですよね。第一希望は校内にある学童保育ですが、増員はしているものの、それを上回るペースで希望者が殺到しているみたいで激戦です。

―― 佐藤さんは現在、フリーランスとして働かれていますが、何か対策は取られていますか?

佐藤 契約先の会社には、「学童保育に入れなければ、今のまま働き続けることは難しい」とは伝えていて、こうした現状を学童保育に伝える申請書類などを作成してもらっています。ただ、心のどこかでは「1年生なんだし滑り込めるはず」と楽観視もしていて。バス迎えのある英語の民間学童があるのですが、距離が結構遠いので、そこに入れるつもりはありません。習い事という手もあるにはありますが、放課後に子どもを一人で通わせるのも心配です。私自身カギっ子だったので、1年生のうちから留守番をすることもできるような気もしますが、やはり、昔と今とでは子どもを取り巻く環境も変わっていますから、都会での一人留守番は難しいのではないかと思っています。

宮田さん(以下、宮田) それに、学童保育は一度入れたら安泰かというと、そういうわけでもないですしね。

―― え、そうなんですか?

<次のページからの内容>
● 学童保育は一度入れたからといって安泰ではない
● すし詰め状態の施設、絶え間ないケンカ、学童保育の「質」問題
● 新1年生の鬼門は夏休み。問題があってもその後は落ち着くことも
● 心配なことがあれば、入学前に小学校や学童保育に相談することも可能
● 小学校入学と同時に、生活のペースが激変した
● 入学前には、親が先回りせず子どもの自主性を育てる準備を