小学校入学に当たって共働き家庭がぶつかるという「小1の壁」。近年よく聞かれるようになりましたが、それがどんなものなのかいまいちよく分かっていない……。そんな保育園児の子を持つママ、パパは少なくないのではないでしょうか?

 第3回は、実際に子どもが小学校に入学し、学童保育に通うようになってからぶつかる壁について、前回に引き続いて認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんと全国学童保育連絡協議会事務局次長の佐藤愛子さんに聞きました。親として、子どもにどう寄り添ってあげればいいのでしょうか。

 年長春から小学校入学、最初の夏休みまでの年間スケジュール&家庭で進めておきたい準備についてもまとめました。小学校の準備は、いつ、何を始めればいいのか一目で分かります。ぜひ目安としてご活用ください。

【親のキャリア、学童、防犯… 「小1の壁」の乗り越え方特集】
(1) 「小1の壁」は住む街で違う? 自治体「学童」調査一覧
(2) 年長の春から早めに準備 学童の見学とTO DO
(3) 入学後の壁と「年長春→小1夏」スケジュール&準備 ←今回はココ
(4) 小1の防犯対策 子どもは不審者を見分けられない
(5) 「学童の壁」 事前の備えと指導員との情報共有が鍵

4月の間はヘトヘトに疲れる生活が続く

 「小学校に入学すると、子どもたちを待っているのは、新しい先生や友達と共に、机に向かって勉強をするという未知の体験。そして学校が終わってからは慣れない学童保育で夕方まで過ごすというような生活。保育園時代とは一変します。この変化こそが、子どもにとっては大きな『小1の壁』。新生活に慣れるまでの間、子どもたちは疲れ切って、ヘトヘトになる毎日が続くでしょう」

 そう話すのは、夜間保育&学童保育を運営する認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんです。

 「一年生のうちはまだこうしたストレスをうまく言葉にできませんが、ストレスがたまっていくと、学校へ行き渋ったり、『自分は何てダメなんだろう』といった自己嫌悪感につながったりしてしまうことも。だからこそ親御さんにはこの時期、できるだけ仕事を調整し、子どもに寄り添ってもらいたいと思っています」

 学童保育の保護者と指導員でつくる民間団体である全国学童保育連絡協議会事務局の佐藤愛子次長も、「1年生の4月は意識的に生活のペースを緩めてほしい」と話します。

 「子どもが疲れていることを意識して、親にも意識的にのんびりと過ごしてほしい時期です。もし習い事をしている場合は4月の間は通うペースを落としたり、お休みしたりしてもいいのではないでしょうか。親も子どもに寄り添う時間を最優先に考えて、仕事をなるべく早めに終わらせて帰宅することはもちろん、家事も手を抜いてください。この時期に関しては、お総菜でも外食でもOKと割り切っていいと思います。手作りのごはんにこだわるよりも、ファミレスでゆっくりしながら、子どものその日あった話を聞いてあげたほうがいいですよ。

 また新生活が始まると、親も気が張って『早くしなさい!』『宿題はちゃんとやったの?』『忘れ物ないか確認したの?』など、つい追い立てるように言ってしまいがちですが、そうした気持ちはグッとこらえて。多少忘れ物があっても大丈夫。それよりも子どもが疲れ切っていることを意識して、いつも以上に子どもに対して寛容でいられるよう心掛けてください」

 「まずは生活のペースをつかむことが大事」と小栗さんは話します。

 「4月の間はとにかく学校に通うことを見守る時期。そしてゴールデンウイークが明けてから夏休みまでの期間は、毎朝きちんと起きて学校に行くというペースをつかむ時期です。親が先走ることなく、子どもが生活に慣れるペースに合わせてあげてください」

 一年生になった子どもに親は成長を期待したいところですが、小学生になると子どもたちにはどのような変化が出てくるのでしょうか?

<次のページからの内容>
● 必ず聞かれる「なんで学童に行かないといけないの?」という質問
● 学童保育と円滑なコミュニケーションを取るコツとは
● 夏休みは子どもを「手放し」て冒険させる
● 小学校入学はパパが育児参加する、いいきっかけに
● 年長春から小1夏までの「年間スケジュール」