小学校入学に当たって共働き家庭がぶつかるという「小1の壁」。近年よく聞かれるようになりましたが、それがどんなものなのかいまいちよく分かっていない……。そんな保育園児の子を持つママ、パパは少なくないのではないでしょうか?

 保育園の待機児童問題が社会問題化し、自治体も危機感を持って取り組み始めた一方、学童保育の問題はまだそこまで注目を集めていません。この特集では、今深刻化する「小1の壁」とは一体何なのか、そしてわが子がこれから小学校に上がっていくという共働き家庭が準備や練習をしておいたほうがいいことなどについて明らかにしていきます。

 第1回は、学童保育の問題を取り上げながら、日経DUALが日本経済新聞と共同で実施した「自治体の子育て支援制度に関する調査」で明らかになった自治体ごとの取り組みの違いを一覧表にしてご紹介します。

【親のキャリア、学童、防犯… 「小1の壁」の乗り越え方特集】
(1) 小1の壁 住む街で違う?自治体「学童」調査一覧 ←今回はココ
(2) 年長の春から早めに準備 学童の見学とTO DO
(3) 入学後の壁と「年長春→小1夏」スケジュール&準備
(4) 小1の防犯対策 子どもは不審者を見分けられない
(5) 「学童の壁」 事前の備えと指導員との情報共有が鍵

子育てにおける最大の壁は「小1」?

 「今子育てを振り返ると、『小1の壁』がいちばん分厚くて、乗り越えるのが大変だった……」

 子どもが中学生、高校生となり、手のかかる子育ては一段落したというママからよく聞かれるせりふです。

 しかし、現在保育園の年少や年中の子どもを持つママ、パパは、「小学校なんてまだ1年も2年も先のこと…」とあまり考えていない人が多いのではないでしょうか。いくら「小1の壁」が大変だと聞かされても、初めての子育てでぶつかったさまざまな難問や保育園に入ることの大変さなどを考えれば、それに勝る壁はないだろう……そう思うのも無理はありません。

 そもそも「小1の壁」とは何なのでしょうか? 全国学童保育連絡協議会、また夜間保育&学童保育を運営するNPO法人「あっとほーむ」代表の小栗ショウコさんへの取材を通じ、日経DUALでは下記のように分類しました。

親の「5つの壁」

● 学童保育に入れるかどうか
→すべての子どもたちが学童保育に入れるかどうか、自治体によって違う。また全入の場合は“保育の質”に懸念が生まれる

● 預かり時間が保育園時代より短くなる
→お迎え時刻が早くなり、残業はおろか定時退社でも間に合わないことが起こり得る

● 時短勤務の終了、配置転換など職場環境の変化
→時短勤務は子どもが小学校に上がるまで、とされている企業は多い。時短勤務は取れないのにお迎え時刻は早くなる。また時短勤務終了に伴って配置転換されるケースも多く、親自身も環境変化のストレスにさらされる

● 保育園生活と小学校生活の違い
→小学校では持ち物やプリント類が増え、宿題も出るため親の家庭での負担が増大する

● 子どもの通学の不安
→子どもだけで学校に通うことになるため、交通事故や犯罪に巻き込まれないかどうか不安になる

子どもの「3つの壁」

● 小学校、学童保育といった環境の変化とコミュニケーションの不安
小学校生活、学童保育での生活は保育園時代とは全く異なる。生活環境の激変、そして新しい交友関係でのコミュニケーション面の不安

● 生活リズムの変化と体力面の不安
小学生になり朝が早くなったという家庭も多く、また学校での勉強、学童保育での生活、習い事などで保育園時代より大幅にエネルギーを消耗する。子どもの体力面の不安

● ストレスの増大など精神面の不安
慣れない環境、生活リズムの変化、宿題などの新たな負担によるストレスを抱えるが、まだ子ども自身がそのことをうまく言葉にすることができない。ストレスや不安を自分で軽減することができないため、子どもの精神面が不安