同僚ワーママの乗り切り術に助けられる

―― 一人で見ないといけない期間に出張もあったのでは?

原口 義母のいない時期にどうしても出なくてはいけない夜の会議や出張のときは、ベビーシッターを活用しました。民営学童は最大21時まで預けることができますが、それまでに遠方からだと戻るのは難しいこともあります。

 仕事の会場の近くにホテルを取り、そこにベビーシッターに来てもらって部屋で娘を見てもらうことにしました。家で見てもらうこともできますが、そうすると同じように家に戻るまでに時間がかかってしまうので、シッターさんと娘を現地に来てもらう、という方法を考えたのです。仕事の合間に学校が終わったばかりの娘を車で迎えに行き、そのままホテルに連れて行ってシッターさんと引き合わせ、私は会議へ。そして終わり次第ホテルに戻って娘と休み、次の朝早く起きて学校に送って行き、私は仕事に戻るということを何度かやりました。大変ですが、そのほうが近くにいて安心ですし、娘の睡眠時間も確保できました。

―― シッターも娘さんも仕事場近くに呼び寄せるとは、発想の転換ですね。

原口 同僚のワーキングママに「こういうときどうしてますか?」と相談しました。するとこうしたアイデアや良いシッター会社を教えてくれて、すぐ登録しました。病児保育は、「フローレンス」に入っていたのですが、これも同僚ワーママからのオススメだったんです。もう小学生なのでそんなに病気はないと思いますが、一人で子どもを見るための保険だと思って入っていました。

 出張や夜の会議から家事のやりくりまで、困ったときには同僚や娘の友だちのワーママに「どうしてますか? 」と会うたび聞いていました。働くママはたくさんのアイデアや情報を持っていて、本当に重要な情報源でしたね。日々のスケジュールのやりくりなど、本当に尊敬しました。

―― そういうことを聞ける人間関係があることもとても大事ですね。ママたちに話しかけづらいというパパもいると思いますがいかがですか?

原口 確かに娘の習い事などに一人で連れて行くときには、知らないママにはあまり話しかけられませんでした。変に警戒されても困りますし……。

 だからこそ、妻がいるときに交流のあったママたちと学童のお迎えや習い事で会う時は、話しやすくて助かりました。妻と一緒でも任せるのでなく、一緒に話しかけたりしておくことは大事だなと改めて思いましたね

 一方で、ママのLINEグループのようなものにはなかなか入ることができないので、困ったことも多々ありました。娘が宿題を忘れてきたりした時にちょっとLINEで聞く、という相手がいないのです。泣きながら訴える娘に悩んだことがありました。

―― そんなときはどうされたんですか?

原口 私は、ずっとガラケー(スマホではない携帯電話)を使っていたのですが、この時期にスマートフォンに変えたのは、私にとって革命的でした。LINEアカウントを作り、妻にLINEで事情を話し、妻からママ友に聞いてもらうことができたからです。日本の夜があちらの昼だったので、そういった時に連絡がすぐ取れたのが助かりました。でも、頻繁にこういうことはできないので、妻が「もう忘れ物はしないように気をつけるね? 」と娘に電話で約束させてから聞いてあげてましたね。本人にも少し自覚してもらうのにいい機会だったかもしれません。

 それでも、小学校は毎日のお手紙やら急に持って行かなくてはいけないものが多く、正直そこまでは手が回らず、抜けていることも多かったと思います。仕事から帰ってきてバタバタ家事などをこなしていると、お手紙を見ないまま朝になってしまったり、宿題も細かく中を見ることができないことも多々ありました。実は、私も子どもの頃忘れ物がひどかったんです。両親も共働きでこまめに見てもらえなかったからこそ、成長するうちに自分で忘れないようにどうするか工夫したり、気をつけるようになりました。だから、今完璧に親がやってしまうより、忘れ物をする中で子どもが学んでいくこともあるかと思い、そこは少し緩めたところでもありました