過保護に育てられた自分を反面教師に

―― 2人の強い信頼関係ができているのですね。でも、産後1~2年は新しい生活リズムに慣れずに夫婦げんかが多くなる時期だといいいますが、それは大丈夫でしたか?

藤井 夫婦げんかはほぼないですね。家事の仕方などで妻に注意されることはありますが、だいたい妻の言うことが正しいので言い返そうとは思わないのです(笑)。

 それに、子どもの前で夫婦げんかをするのは絶対にやめようと、子どもが生まれる前から妻とは話していました。大人がけんかするのを子どもに見せて、いいことなんて1つもないですよね。私の両親はけんかをしない夫婦でしたが、妻の両親は口論をすることもあったようで「それを見るのが嫌だった」と妻には忘れられないようです。だからこそ、我が子には同じ思いをさせたくないというのもあるでしょう。そのおかげか、息子も穏やかで優しい子に育っていると感じています。

―― どんなことを子育てで心がけていますか?

藤井 いいところを伸ばしてあげて、自分でやりたいことを見つけていける子になってほしいなと思っています。さまざまな体験もさせてあげたい。

 何かを聞かれたときも、すぐに答えをあげるのは避けています。「どうしてそうしようと思ったの? 」「なんでそう思うの? 」と本人の思いを聞くようにしていますし、息子にも“なぜ”に向き合ってほしいのです。

 私自身、親に手をかけて育てられたという思いがあります。いろいろ先に先にと準備してくれて、過保護に育てられたのではないかと感じています。もちろん今でも仲は良く、感謝はしておりますが、自分が人に頼りがちだったり、人の指示待ちになっていることが多い気がして反省するのです。だからこそ、私が育ってきた環境を反面教師に、息子には自分で考え、自分でやりたいことを見つけて行動できる人になってほしいと願って、子育てをしています。

 息子は、じっくり物事を観察して、周囲の友達や人の様子を見てから話したり行動したりするタイプです。それって、子育ての影響だけでなく、子どもが持って生まれた個性だと思うのです。そういう持って生まれたいいところを伸ばしてあげて、それが生かせる人生を歩んでくれたらいいですよね。

―― 今は息子さんは習い事などはしているのですか?

藤井  今はリトミックを始めたばかりで、まだ息子は様子を見て観察している時間のほうが長いようです(笑)。でも、こういう経験って、親も勉強になると感じています。子どもがいなかったら、リトミックなんて知らなかったですし、自分が子どもと歌ったり踊ったりするなんて思いもしませんでした。例えば、育児アイテム一つとっても知らなかったことだらけで興味深いですよね。調乳ポットやオムツ消臭袋なんて、普段の生活で出合いません。電車などでも他のお子さんの玩具やベビーカーなどもよく見てしまいます。「そうか、ああいうふうに畳めるのか」とか。

 もともと、私は知り合いの子どもなどを自分から遊んであげるタイプではなく、友人の世界も限られた中で付き合っていた気がします。しかし、子どもができて、保育園の他のパパを見るだけでも、個性的なファッションをする人などこれまで自分が関わることのなかった男性たちを見かけます。それだけでも、とても面白いと思うのです。

 自分の子がかわいく感じるのは当たり前ですが、今は他の人の子どもとも遊んであげたいと思うし、話しかけられたらうれしい。文字通り、他人事ではなくなりました。

 駅一つとっても、「あそこは子どもが一緒にいたら歩きにくいな」とか見える景色が全く違う。子どもがいることで世界が広がり、子どもがいるからできることを楽しめるようになりました。