もうイクメンと言われるのも嫌というほど、子育てに主体的に取り組む男性が増えてきた。まさにそんなDUALパパたちの“普通”だけど“自分ごと”として試行錯誤で取り組む育児は、親世代とは大きく変わっているはず。そんなパパたちの静かな育児革命を追う4回目は、第2子誕生時に1カ月半の育児休暇を取ったパパ。男性育休が増えつつあるが、実際に取得後に現場に戻ったら、そこに彼の居場所はなかった…。まだまだ理解が求められる男性の育休取得の実情が見えてきました。

今回の革命パパ

戸山さん(仮名):アパレル系プロダクトマネジャー。小学1年生と3歳の娘2人の父。妻は人材系企業に勤務。新卒で大手電気機器メーカーに入社し勤務してきたが、二人目誕生時に1カ月の育児休暇を取得。復帰から約1年半後に退職し、現在の会社に転職した。

家事も育児も妻の担当だと思っていた私が180度変わった理由

日経DUAL編集部(以下、――) 戸山さん(仮名)は、二人目の娘さんが生まれたときに育児休暇を取得されたそうですが、取ろうと思った理由を教えてください。

戸山さん(以下、敬称略) もう物理的に、家庭が回らない状況でした。妻の母は地方に住んでいて、仕事もまだまだ現役でスポットの手伝いになり、私の両親の手を借りることも見込めない。しかし、長女の保育園送迎や生まれてからの次女の世話や家事なども含め、妻一人では無理だと思いました。それに、妻には産褥期はしっかり体を休めてほしかったのです。この時期きちんと休まないと、年を重ねてから体に影響があると聞いたこともありますし、一人目を一緒に育ててきて子育てや家事の大変さもよく感じていました。

 妻はとても賢くて、常々男女平等とはどういうものかという話をしていましたので、妻だけに負担を強いることはしたくなかったのです。しかも、子育てって面白いですよね。こんな楽しいことを味わわない手はないと思ったのです

―― こんなに楽しいことはない、と。最初からそんなに育児に積極的だったのですか?

戸山 いえ、お恥ずかしながら、実は一人目が生まれるときはここまでではなかったんです。専業主婦の母に育てられ、家事や育児は妻に任せればいいという古い考えを持っていました。

―― それがどうして180度変わってしまったのでしょう?

戸山 子どもが生まれてみたら、かわいかったんです(笑)。こんなにかわいく、いとおしいものはないと思った。
 それと、育児ほど責任のある仕事はないと思うんです。1000万円稼ぐよりも価値のあることだと、やってみて本当に思いますし、妻だけにそんなに楽しいことをやらせておくにはもったいない(笑)。
もちろん育児は大変だし、つらいときもあります。でも、かわいいし、貴重な時間なのです。

 もう一つの理由は、妻がとても賢いことです。出産や育児休暇によって女性のキャリアはリスクに侵されます。妻はとても仕事ができる人で、キャリアもきっとどんどん広げていける人だと信じていますが、どうしても出産などで妻に負担が行ってしまう。でも、そのたびに「なぜ母親だけが保育園の送迎をしないといけないの?」「これは二人でやるべきだ」ときちんと言葉に出して言ってくれる。もちろん言い合いになることもありますが、彼女の言うことは大抵正しいですし、私も言われて「ああ、本当にそうだ」とふに落ちるんですね。その繰り返しで、二人目が生まれるときには、一緒に育児休暇を取って関わるべきだと思いました。そして、それは数日や1週間では分からないんです。本当に妻に代わって育児や家事を担うには、1カ月半でも短過ぎるくらいだと思いました。