子どもとの関係も、やっぱり土台は夫婦仲

米澤 もちろん「自分が正しい」と思っているときは、衝突することもありますよ。どっちも譲らないときは、娘に「どっちが正しいと思う?」と聞いてみることがあります。

山本 えーっ、面白い! 娘さんは、どう反応されるんですか?

米澤 「今回はパパが悪いんじゃない?」って。「違うんだよ。こうこうこうで」って説明すると、「でもさー、今回はパパが謝ったら?」って冷静にアドバイスしてくれる(笑)。

山本 子どもって夫婦の会話をすごくよく聞いているし、善悪のジャッジもだいたい間違っていないんですよ。保育園や幼稚園の先生方は、家庭での夫婦ゲンカの話を園児たちから山ほど聞かされています。

米澤 僕は、ママがパパの悪口を子どもに聞かせ始めるとヤバいと思うんですよね。特に女の子の場合、ママがパパのことを「汚い」とか「クサい」とか言い始めると「お父さんは汚くてクサいものなんだ」ってすり込まれる。そうすると思春期を迎える前にパパ離れが加速してしまう。子どもとの関係も、やっぱり土台は夫婦仲なんですよね。

山本 みなさん、子どもの前で「ケンカしちゃいけない」と思うんですけど、別にケンカを見せたっていいんです。大切なのは、夫婦が仲直りするところまで見せること。そこまでできれば、家族にとってもストレスが溜まらない。無言でトゲトゲしながらすれ違っている両親を見るほうが、子どもにとってはきついんです。

―― 後編に続きます。

取材・文/澤田聡子  写真/川田雅宏


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・香川県の地産地消プロジェクト「SANUKI TABLE」の「パパも厨房に入ろう♪」


山本直美
山本直美 チャイルド・ファミリーコンサルタント。株式会社アイ・エス・シー代表。NPO法人子育て学協会会長。日本女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。幼稚園教諭を経て、大手インターナショナルスクールの立ち上げに参画。95年にアイ・エス・シーを設立。東京・神奈川・名古屋で「ウィズブック保育園」を開設、運営し、独自の教育プログラムや保護者向けの子育てに関する学びを提供している。2008年NPO法人子育て学協会を設立。著書に『3・4・5歳児の心に響く魔法の言葉かけ』(明治図書出版)、『ねえねえ あーそぼ』(エンブックス)など。子育てを楽しむヒントを学ぶ パパママ向け「子育て学講座」(11月〜開講)の申し込み受け付け中。


米澤文雄
米澤文雄 1980年生まれ。東京・恵比寿のイタリアンレストランを経て渡米、ニューヨークの三ツ星レストラン「Jean-Georges」で日本人初の副料理長となる。2018年に東京・青山の「The Burn」料理長に就任。私生活では小3、小1の女の子のパパであり、NPO法人「スーパーダディ協会」理事としても活動。入院中の子どもに付き添う親の食事を提供するミールプログラムにもボランティアとして携わる。