料理が苦手なパパへのおすすめメニューは「ピカタ」

米澤文雄さん
米澤文雄さん

米澤 パパたちの職業も様々で、得意分野もそれぞれ違うんです。「キャンプ担当」のパパがいて、みんなでアウトドアで遊ぶイベントがあったり。僕は食担当なので、「スーパーダディ男めし塾」と題して、料理のコツを教えるワークショップを開催しています。前回は、会員のパパたちをメーンに、子どもたちにも手伝ってもらってハンバーグを作りました。

山本 先日も香川県でパパとお子さんのお料理教室を開催されていましたよね。

米澤 「SANUKI TABLE」という香川県の地産地消プロジェクトで、「パパも厨房に入ろう♪」という親子料理教室を開催しました。後日、参加した小学生の男の子が料理教室で覚えたメニューを、イベント当日には来られなかったパパに作ってあげたそうなんです。そうしたらそのパパ、うれしくて号泣したって……。

山本 それはパパも感激しちゃいますよね。ちなみに、親子料理教室でよく教えるメニューってどんなものですか?

米澤 おすすめは、ピカタですね。とても簡単で初心者に優しい料理なんですよ。溶いた卵にすりおろしたチーズを混ぜておきます。もちろん、市販の粉チーズでもOK。それに塩こしょうして、小麦粉をはたいた豚肉をくぐらせてバターで焼くだけ。レモンを添えれば、立派な料理です(笑)。

山本 おいしそう! 確かにこれならお料理が苦手なパパでも挑戦できそうですね。

米澤 料理教室ではなるべくハードルを低くして、「料理って意外と簡単で楽しいな」と思ってもらえるようなレシピを教えています。何か新しいことを始めるときは、リターンが得られないとなかなか続かないんですよね。料理教室では、家族にできあがった料理を「おいしい!」って言ってもらえることと、料理上手になっていく自分。この2つがリターンです。

山本 家族に「おいしい!」って喜んでもらえると、うれしくて次も頑張ろうと思えますものね。

意見が合わないときは「子どもにとってどうか」で考える

―― 夫婦ゲンカはしますか?

米澤 あんまりしないほうですね。僕は自分が間違っていたときは、さっさと謝っちゃう派。

山本 でも、大半の人は「自分こそ正しい」と思っているから、素直に謝るのを嫌がりますよ。だから、私はいつも「夫婦で意見が合わないときは、“子どもの視点”で考えよう」って提案していますね。

米澤 確かにそうですね。妻は僕から見るとちょっと心配性で、小学生の子どもたちが1時間ほど2人で留守番したときも、タブレットで祖父母といつでも話せるようにつなげておいたり、正直「ちょっと過保護なんじゃない?」と思うこともある。でも、結果的に「子どもたちがそれで安心できて、安全ならいいか」って。

山本 意見が違っても、ケンカにはあまり発展しないんですね。DUALの読者の中には、ママは「見たら分かるでしょう? 察してよ!」とイライラする一方で、パパは「口に出して言ってくれないと分かんないよ!」っていうすれ違いのお悩みを抱える方が多いんですが、そういうことはあんまりない?

米澤 妻が怒っているときは、「これが原因でイライラしているな……」と明快に分かるんで、怒りの理由が僕にあるときは、即対応します。

山本 人間って基本的に自己中心的な生き物なんです。主観的だとどうしても、「感情」のほうが上回ってしまう。だから、いかに自分を俯瞰して見ることができるか、客観視できるかっていうのは、心理学では「成熟度」を量る項目の一つなんですよね。家族との関係でそれができるというのは、なかなかないことですよ。