「夫婦の対話の時間」を必ずつくっておく

 子育て期の夫婦に共通することは、とにかく「余裕がない」ことでしょうか。正直に言って、これまで私が見てきたたくさんの家族の中で、“余裕があるパパやママ”を見たことはありません。子どもと一緒の生活の中で、髪を切りに行きたい、歯医者に行きたい、部屋をきれいに片付けたい……やりたいことがあっても何かしら課題を積み残している状態が続きます。

 ご近所に、夫婦で子どもを一人ずつ自転車に乗せて保育園に送っていくご家族がいるのですが、きょうだい二人が同じ園に入れなかったのか、途中の道で別れるときに家族でお互いに「ガンバってね! いってらっしゃーい!」と声を掛け合っています。その様子を見ていると、お互いの仕事と育児の奮闘を認め合えていていいなと思います。効率よくさまざまなことを片付けようとすると、どちらかが子ども担当、もう一方が家事担当など、別々の行動になってしまいがちですが、たとえ効率が悪くても一緒に同じ行動をしてみることも、時には大事かもしれないですね。“みんな一緒に頑張っている”という家族の一体感や安心感につながると思います。

 余裕がない中での対話のポイントとして、「どうしたらお互いに相手の余裕を引き出せるか」を考えてみてはいかがでしょうか。「忙しいときほど丁寧な言葉を使う」「思いやりのある言葉を掛けてみる」など、日常の中の“言葉”を意識すると気持ちよく過ごすことができます。

 そして対話をしたいときに大切なのは、時間のつくり方。お互いにリラックスできる時間をいかにつくり出すかが大事です。夫婦でゆっくり話をしたいときには、その時間が楽しみになるように特別なお菓子やお酒を用意してみるなどの環境設定ができると、より気持ちよく過ごせます。

 対話をするときはお互いの“解決脳”と“共感脳”の両方を意識することが大切です。妻側の不満でよく聞くのは「いちいち言わなくても分かってほしい」ということ。そうした気持ちが出てきたときは、自分の要求をきちんと言葉で伝える練習をしてみましょう。一方で「愚痴を聞いたり、共感したりすることに意味が感じられない。すぐに解決策を提示してしまい、妻にゲンナリされる」などの悩みを持つ夫は、「妻の話をさえぎらずに聞いた結果、スッキリしてくれた様子」など、それによって得られる結果を具体的にイメージする練習をしてみるといいですね。

 また、乳幼児期は子どもに多くの時間を取られていますが、小学校に入学して学童期に入ると、手がかかることがぐっと減ってきます。子どもの成長とともに、夫婦だけではなく「子どもとの対話」も重要になってきます。乳幼児期に夫婦で向き合うことは、成長した子どもとの関係性を築いていく上で、大切な練習にもなります。