これまで連載で紹介してきたのは、多くが10年以上の長いひきこもり経験を持つ人たちでしたが、今回は比較的、ひきこもり期間が短かった人の話を聞いてみます。

神奈川県内の大学2年生、中西耕平さん(21歳)は、高校2年生から1年半のひきこもり経験を「成長の糧だった」とポジティブに捉えています。彼はどのようにしてひきこもり、そして外へ出たのでしょうか。

退部がきっかけで不登校に 自室ドアにはバリケード

 中西さんがひきこもった直接のきっかけは、高2の夏に部活をやめたことです。所属していた音楽系の部活は全国でも強豪で、中西さん自身も部活に憧れてこの高校に進学しました。

 しかし、自分のペースで技術を磨けると思っていた中西さんの予想とは違い、練習は集団主義的な上、運動部もかなわないくらい運動量も多く、激しいものでした。骨折などのけがも日常茶飯事。部活嫌さに学校を休むこともたびたびで、心身ともに疲れ切ってしまったといいます。

 しかし退部してみると「部活が学校生活のすべてだったので、何をしたらいいのか分からなくなってしまいました」。

 クラスメートの約半数は、この部に所属していました。退部したとたん彼らの態度は一変し、中西さんは孤立してしまいます。2学期に入ると、ほとんど登校しなくなりました。

 両親は、怒ったり騒いだりはしなかったものの「学校に行かなくていいの?」とは聞きました。中西さんは彼らに部屋に入られるのが嫌で、小机でドアの前にバリケードを作りました。「ひきこもり中は、親すら信じられなくなる。実際に衝突したわけでもないのに、何か言うと否定されるのではないかと懐疑的になり、本音を言いづらくなりました」

 深夜に漫画を読んだりゲームで遊んだりして、午前5時ごろ就寝。共働きの親が出勤した後に起きだす生活です。「やることがないので、1日14~16時間寝ていました」。食事は、母親が部屋の外に置いてくれました。しかし運動しないので食欲はなく、4日に1度しか食事をしないことも。もともと痩せ形の中西さんですが、体脂肪率5%、体重は30キロ台にまで落ちました。「皮フを通じて足の骨が透けて見えるようになって、自分でも『やばい』と思いました」。

次ページから読める内容

  • 「高校は地獄」よりどころだった友人亡くし再び部屋へ
  • ひきこもりを静観した親に感謝、前兆のSOSは届かず
  • 子どもの「普通」優先して 真の意味で大人の対応を

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