今日一日をみっちり生きる
悲しいことがあっても、今日一日のことだと思うことです。
また逆に、幸せなことがあっても、今日一日のことだと思うことです。そうすれば羽目をはずしてしまうこともなくなるでしょう。
人生はまだ何年も何日もある、などと思わずに一日一日を大切に積み上げていくことです。遠い先の漠然とした幸せに憧れるのではなく、与えられた一日の中で自分の目の前に「幸せ」を見出しながら生きていくこと。
この「一日暮らし」の考え方が身に付くと、たぶん仕事においても、生活においても、子育てにおいても、不平や不満が消えていくように思います。
人生には何があるかは分かりません。
明日何が起こるのかは、誰にも分からないのです。
ならばいつも、自分が置かれた場所で精いっぱい咲いて、今日一日をみっちり生きて。
仕事における信頼関係、親子間における信頼関係、夫婦間における信頼関係をきちんと築き上げていくことが一番大事なことなのではないかなと、私は考えています。
まあ、いいか、これぐらい。
まあ、いいか、いま頑張らなくても。
まあ、また、今度ね。
ではないのです。
人生は「一日暮らし」。
大人こそ、日々を精いっぱい、生きていこうではありませんか。
多くの幸せを望んだり、人の人生を見て羨ましがったりするのではなく、
目の前にある「今日一日」を生き切ること。
それがいま、私が禅僧として皆さんに一番お伝えしたいことです。
聞き手/赤根千鶴子