自分の子どもと他人の子どもを公平に見る目を養う

 大前提として、子どもが日々のことを、そして悩みをきちんと話してくれる「信頼関係」を親子間で築いておくことは必要です。そのうえで距離をとりながら、子どもの心の成長を見守っていくことが、一番いいのかなと思っています。

 子ども関係で何かしらトラブルがあったときは、親御さんにも心に留めておいていただきたい言葉があります。それは『両忘(りょうぼう)』という禅語です。「両者の価値を公平に、等しく見る目を養う」という意味です。

 これはいいけど、これは悪い。これは好きだけれど、これは嫌い。そうやって“対立”をさせ、“えり好み”をする気持ちがあると、ものごとはなかなか解決できません

 どちらがいいとか、悪いとかではない。自分の子どもも、他人の子どもも公平に見て、ものごとを判断していくことです。

 そのためには親自身が普段から、よそのお子さんに対して
あの子が悪い、あの子はいじわる、あの子が嫌い。
そういった偏見を持たないこと

 また、かたよった見方で、ひとの悪口を言ったりしないこと
おじいちゃん、おばあちゃんの悪口。
親戚の悪口。
学校の先生の悪口。
子どものお友達のお父さん、お母さんの悪口。
近所のひとの悪口。

 そんなことを親が家でしていると、子どもも当然同じようにまねをしてしまいます。親が普段から『両忘』という姿勢を持っていれば、子どももその背中を見て育っていくものです。

 争いのもとはこちらから、抱え込まないようにすることが大事なのです

聞き手/赤根千鶴子