まずは、自分でどうしたらいいかを考えよう

 『従門入者不是家珍(もんよりいるものは、これかちんにあらず)』という禅語があります。直訳すれば、家の門から入ってくるものは家宝にはなり得ないという意味です。「家珍」とは家の宝物、一番大切なもの。禅の世界では「悟り」ということです。つまり「回答集を見てから禅問答に答えても、それは正解にはならない。外から引っ張ってきた答えは一切自分の宝にはならず、自分の中で悩み苦しんで出した答えこそが自分の宝になるのだ」という、教えなのです。

 ひとに答えを求めていたのでは、自分の力にはならないんだよ

 ひとに解決してもらおう、誰かが解決策を提示してくれるのを待っていよう、ではないんだ。「いやだなあ」「大変だなあ」と思っても、扉って自分で開けなければ開かないんだ。まずは自分でどうしたらいいか、考えてごらんどうしてこの問題は起きたのかな。お互いにどういうことを言ってしまったのかな。そしてお互いにどういうふうにしたいと考えているのだろうどうすることが解決につながるのか、1回ひとりで考えてごらん。考えてから、もう1回お父さん、お母さんと話をしよう。

 お子さんにはそんなふうに話をしながら、教えてあげていただきたい禅語です。もちろん、行き過ぎたいじめなどに対しては、親として厳然とした態度で子どものために行動すべきだと思います。それは言うまでもありませんが、日々の諸問題に対しては、まず子ども自身が悩み考える時間を大切にしてほしいと思います。