教育に関する話題で最近よく耳にする 「2020年教育改革」ですが、高校入試の先にある大学入試が大きく変わる時期に来ています。大学入試センター試験が廃止され、2021年からは思考力・判断力・表現力をより重視する「大学入学共通テスト」がスタート。そして、志願者の能力をより多面的に測るAO入試もさらに拡大していく見込みです。

 少し気が早いかもしれませんが、こうした変化に対応しつつ、子どもが進みたい道を見つけて力を発揮するために今から意識するといいことはあるのでしょうか。AO入試専門塾「KOSSUN教育ラボ」の代表を務める小杉樹彦さんに、AO入試の現状と、複雑な現代社会で必要になる「学力+αの力」の伸ばし方について聞きました。

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大学入試は学力、熱意、適性などを総合的に見る流れが加速

 「現時点で、AO入試は大学入試全体の5割を占めていて、私立については過半数を超えています。ある意味、一般入試より一般的と言えるかもしれません。AO入試には、もしかすると『楽をして入れるもの』というイメージがあるかもしれないですが、相応の準備をしないと非常に難しいものです」

 親世代には、AO入試イコール「一芸入試」のようなイメージもちらつきますが、「受験生の能力や適性をあらゆる角度から見ていきます。総合力を問うもので、むしろ逆」と小杉さんは解説します。

 「AO入試の選考方法は多岐にわたっています。一般的には、書類審査、筆記試験、小論文、実技試験、グループディスカッション、口頭試問やプレゼンテーション、など。書類については、高校時代のいわゆる評定平均が書かれた調査書をはじめ、志望理由書や自己推薦書のほか、活動報告といって、高校時代の活動実績をまとめたものを提出します。志望理由書一つとっても2000字以上書くようなものだったりするので、十分なリサーチが必要です」

 基礎学力+αを見るところがAO入試のポイントだと小杉さんは言います。

 「以前は、極論を言ってしまうと医者になりたくない人でも、点数が取れれば医学部を突破できてしまった。それに対してこれからは、基礎学力は当然として、熱意や適性といったものを総合的にくみ取れる入試に変わりつつあるのだと思います。

 AO入試では、『なぜうちの大学でなければいけないのか?』という質問がよくあります。『私は〇〇という研究テーマを持っていて、この大学のこの学部には△△先生の研究室がある。著書や論文を事前に読んで、こういう部分に共感したので、事前にアポを取ってお話しした結果、方向性が非常に似ていたので志望しました』。これくらいのレベルで志望動機を話せないと、人気のある大学に合格するのは難しいです。ただマーケティングを学びたいです、みたいなことを言っても、そんな学部はごまんとありますからね」

 AO入試で成果を出すために小杉さんが重要だと考えるのが、「細く長く対策をすること」です。それはどういうことでしょうか。

<次のページからの内容>
● 細く長く考える経験の積み重ねが、結果としてAO入試の突破力に
● アイドルも、掘り下げて考えられれば経営学の研究テーマになる
● 子ども自身が探究したいものを見つける時間を大切に
● 親は「導く」から「選択肢を見せる」スタンスに切り替えを