教育は「消費」でなく「投資」、勉強の目的は「合格」でなく「成長」
デメリット その2
チャレンジしない子になってしまう危険性もある
親の態度や声かけによってはその後の子どもに深刻な悪影響を与えてしまう可能性もあります。
「受験勉強中に塾などで受ける模試の結果に親が一喜一憂するのはやめたほうがいいと思います。最悪の場合、『悪い点数を取ったらお母さん(お父さん)に怒られるから、もう勉強したくない(しない)』などと、子どもがチャレンジを恐れるようになってしまうこともあるからです。また、子どもが不合格になってしまった場合に、親が絶対に言ってはならないのは『お金も時間もムダになってしまったね』というセリフ。子どもによってはその言葉が大きなトラウマとなり、その後の人生で頑張りが利かなくなってしまいます。
このような言葉や態度が出てしまう人は、教育を『消費』だと考えてしまっています。本来教育は、子どもの未来に向かってじっくり『投資』するもの。勉強の目的は“合格”ではなくて、“成長”なので、そこをはき違えないことが大事です」(石井先生)
デメリット その3
受験テクニックの習得だけに終始してしまうと、入学後に落ちこぼれる場合がある
中学受験をする子の中には、有名難関中学に入りたいあまり、学校の勉強をおろそかにして、受験テクニックを身に付けることだけに注力してしまう子もいるようです。その場合、「基礎学力が積み上がらないので、その後の学力の伸びに大きな影響を及ぼします」と、鈴木先生は警鐘を鳴らします。
「基礎学力が積み上がらないまま、偏差値の高い学校に受かったとしても、授業についていけずに落ちこぼれてしまう場合もあります。中学でどんなに勉強しても学年下位の成績しか取ることができなければ、たとえ有名難関中学に入れたとしても、本人は幸せとは感じないでしょう」(鈴木先生)
デメリット その4
不本意な学校に入学することになった場合に、6年間の学びの質が下がってしまうことがある
残念ながら第一志望に合格できず、第二志望以下の中学校に通うケースもあるでしょう。「その際、本人が納得できているか否かが大きな分かれ道になってしまいます」と鈴木先生は言います。
「第二志望のB中学でも、『ここが自分に合っている学校だ』と本人が納得できれば楽しく通うことができますが、『なんでこんなに偏差値が低い学校に来てしまったんだろう』などとマイナスに捉えてしまうと勉強に身が入らなくなり、中高6年間の学びの質が相当下がってしまいます。
進学する学校に子ども本人が納得できていないと、進学先の中学にどれほどいいカリキュラムが用意されていたとしても、自分から積極的に学ぼうとする姿勢が身に着かず、いい学びを得られなくなります。
私自身、小学校の学級担任をしていた際、『やらされている勉強』と『自分からやる勉強』では、学びの質に10倍くらいの差があるような印象を受けていました。つまり、『やらされる勉強』の場合、学びの質が10分の1に下がってしまうということ。中学受験がきっかけで、そのような事態になってしまったら本末転倒ですよね」(鈴木先生)
次回は、中学受験をするかしないかを具体的に検討する際に、目を向けたい6項目について詳しくご紹介します!
(取材・文/西山美紀 写真/鈴木愛子)
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