家庭の関わり方次第で中学受験そのものが「よい学び」になる

 まず、中学受験のメリットから見ていきましょう。

 メリット その1 

ストレス対応力(レジリエンス)が鍛えられる

 「受験勉強を始めると、思ったように成績が伸びないなど、壁に突き当たることが多く、子どもに大きなストレスがかかります。でも、ストレスをうまくコントロールできれば、ダメージを受けてもすぐに立ち直る力、すなわちレジリエンスを鍛えることができる。その力は、社会に出たときに必ず役立つはずです」(石井先生)

 メリット その2・その3 

(親が適切な距離感で関わることができる場合は)
親子の絆が深まり、家族としての成長が得られる
子どもに本物の学力が身に着く

 「親子が一緒の方向を向いて受験に取り組めば、絆が深まるというメリットもあります。忙しい共働きのご家庭では、親が常に子どもの勉強に付き添うのは難しいと思いますが、適切に関わることができれば、親子ともに成長につながるでしょう」と話すのは鈴木先生です。

 「受験勉強に限った話ではありませんが、勉強はお城の石垣を積んでいくようなもの。『九九』や『公式』など、子どもが学ぶ内容の一つ一つが石で、それを積んでいくイメージです。たくさん石を積んで大きな石垣を作れば、その上に大きなお城を建てることができます。でも、積んでいく石の間には、隙間ができやすい。隙間なく積んでいくことができれば安定した土台ができますが、隙間があるままどんどん積んでしまうと、一見大きく見えるけれど中身はスカスカで危険な石垣になってしまいます。

 塾で受験のテクニックだけを学び、単にテストの点数を上げるだけ、偏差値を上げるだけの勉強になってしまっては、石と石の間には大きな隙間ができ、このスカスカな石垣ができてしまう。でも、親が適切な距離感の中で子どもを見守り、自分の子どもが今、学校や塾で何を学んでいるのかをしっかり把握したうえで、さらに興味関心を広げてあげるにはどうすればいいかを考える、といった関わり方をすれば、石垣は隙間なく、しっかりと積み重ねていくことができる。親子の成長が得られるだけでなく、本物の学力が身に着くという大きなメリットも得られるはずです」(鈴木先生)