知り合いが誰もいない町での子育ては不安だった

 近所に頼れる身内がいない場所で心強いのは、やっぱりママ友です。保育園のお迎えをお願いすることもあるし、家族ぐるみでお出かけをすることもあります。そうやって一緒に行動できるのは子どもたちも楽しいし、自分も気楽にいろんな話を楽しめる。すごく助けられているなと思います。

 私、どうも人に頼るのがうまいみたいで(笑)。冗談か本気なのか、「甘え上手だよね」って言われたこともあります。もちろんそこはお互いさまで、うちにお友達が集まって、そのまま子どもを泊めることもあります。頼ったり、頼られたりが気兼ねなくできる関係は本当にありがたいです。

 でも、今住んでいるところは結婚して住み始めた町なので、最初は誰も知り合いがいませんでした。娘が生まれて1、2カ月のころは「友達もいないし、どうやって子育てしたらいいんだろう」と不安でした。そんなときに、地元の自治体が「ママと赤ちゃんで集まりましょう」みたいな会をやってくれることを知って、思い切って出かけることにしたんです。

勇気を出したことで、人の輪と居場所が広がった

 当日は、目の前に会場の建物が見えているのに「どうしよう、やっぱり引き返そうかな」と思うくらいめっちゃ緊張していました。眼鏡をかけてちょっと変装みたいなことをしつつ、「みんな私のこと知っているのかな、どんな反応かな」と本当に恐る恐る入っていったんです。

 そうしたら、周りの人は「三倉佳奈だ」みたいなことは全然なくて、「おんなじ月齢の友達ができてうれしいです」という雰囲気。私も「友達が全然いなくて、仲良くなりたいんです!」とすんなり入っていけて、そこで連絡先を交換しました。それが、今も続いているお友達との最初の出会いでした。

 お友達ができなくて悩んでいる人がいたら、ぜひ勇気を出して、こういう場に参加されたらいいと思いますね。私もこの最初の一歩があったから知り合いができて、仲良くなったお友達と一緒に「今度、児童館デビューしてみようか」と、少しずつ人の輪と居場所が広がっていきました。

 ちなみにそのお友達とは、会って数回の間は会話の中に「マナカナのカナ」っていう話題が一言も出てこなくて。「そっか、私って知名度が低いんだなあ、みんな知らないんだなあ」と思っていました(笑)。でも、そのうち仕事の話題も出るようになったので、「私は仕事柄、時間が不規則だし…」っていう感じでじわじわ出してみた。そうしたら、「そうだよね、テレビの仕事も忙しいよね」って。なんだ、気づいてたの!と拍子抜けしました。「もちろんみんな最初から知ってたよ」と言われたんですが、私が言わないのに聞いてくることはせず、普通の友達みたいな感じで接してくれていたんですね。

「誰も知り合いがいない場所で子育てすることに、最初は不安を感じていました」と三倉佳奈さん
「誰も知り合いがいない場所で子育てすることに、最初は不安を感じていました」と三倉佳奈さん