「ワーク・ライフ・シームレス」 親業も仕事も自然体で

 朝は晴れていれば、自転車で20分ほどかけて出勤する。カバンはいつも、読むかもしれない資料と本でぱんぱん。挨拶の機会も多いが、会議や打ち合わせも多い。防災・防犯・福祉・保健・教育・保育・住民情報サービス・広報・空き家対策などのまちづくり……ありとあらゆる生活に関する項目があり、意思決定を迫られる。レクチャーを受けて理解し、判断をし、指示に変える。正規の職員で260名を超える組織なので、各部署の課長がいてきっちり仕事は回っている。それでも、区長としての意思決定が必要な場面は多い。

 この1年、勉強してもしても、し足りないプレッシャーがあった。また、大阪市24区長は「区長会議」という会議で、大阪市の施策に関わる立場でもある。私は「こども・教育部会」に入って、子どもの貧困対策や高校中退問題、里親の推進などを担当している。他にも人に会い、視察をし、気になることは指示に変えていく。情報量が多過ぎて、オーバーフローな日常。

 子どもに絵本を読んでいれば、子育てイベントのアイデアを考えてしまう。近所を自転車で走っていれば、空き家が目につく。区役所業務が人々の日常に深く関わる以上、私の日常はそのまま仕事につながっていく。「ワーク・ライフ・バランス」も大事だけれど、「ワーク・ライフ・シームレス」な人間もいる。親業も仕事もぼんやり自然体で、行き来できればいいなと思っている。


《区長に質問!コーナー》

「待機児童問題はなぜ解決しないのですか?」

【山口区長からの回答】

 きっと、この春に困った方も多いと思います。特に1歳児の待機が多く、生野区では平成29年度に初めて待機児童が出たのですが、今年度も数名出てしまいました。登園距離などの理由で入りたい保育園を限定されたケースでの待機は、待っていただくしかないという現状です。とにかくどこかに入れればいいということであれば、調整できるケースもあります。

 待機児童問題が発生している理由としては、都心回帰で人口が増えている地域があること、担い手不足と経済状況から共働きが圧倒的に増えていること、報道で焦って早くから保育園に入所する傾向があることなど、いくつかあります。そして、今は「施設はあるけど保育士がいない」という課題も大きい。正規の保育士だけでなく、「子育て支援員」という制度も新たにできて、現場をサポートする人材の育成も始まりました。保育士不足の解消に向けて、労働条件の改善も図られつつあります。

 逆転の発想で、鳥取県内のいくつかの自治体では、自宅で生後6カ月から3歳までの子どもを育てる家庭に現金給付をしています。子連れで働ける企業内保育所の普及や、子連れコワーキングスペース(会員制の共同事務所)の設置も有効です。それぞれの自治体は、必死で入所調整をして、何とか保育環境を整えようとがんばっています。この時期の保育所担当は、残業も続く中でお叱りを受けることも多くありますが、担当者レベルではどうにもできない課題があることを知っていただければ助かります。大阪市全体では、昨年度にかなりの数を拡充しました。なんと、大阪市役所の中にも小規模保育所ができています。粘り強く、子育てしやすいまちづくりに向けて、取り組んでいきますので、身近にいる保育士資格を持つ方や、子育て支援員になってみたいという方への声掛けをお願いしたいです!