日経DUAL創刊時から、連載「ママ世代公募校長奮闘記」を執筆してきた大阪市立敷津小学校・元校長の山口照美さん。2016年4月からは公教育に関わる職務に就き、DUALでも「山口照美 20年後の未来を生きる力を育てよう!」で熱い言葉を届けてくれました。そして、2018年1月からは、大阪市生野区の区長として、子育て世代だからこその「まちづくり」を考えます。待望の新連載です。 

* 本連載の最後のページには、《区長に質問!コーナー》があります。行政に対する素朴な疑問に山口さんが答えます。ぜひご覧ください。

失敗を想定したチャレンジはない

 区長になってしばらく、出勤時に携帯電話のCM曲、WANIMAの『やってみよう』をずっと聴いていた。そして心の中でツッコむ。

 「失敗も思い出って……アカンよなぁ」

 行政は税金で運営されている。失敗を想定したチャレンジは、基本的にあり得ない。それなのに再開発やハコモノの失敗作品が全国にあるのはどうなんだ、と言われそうだが、最初から「失敗しよう」と思って始めたわけではない(と信じたい)。

 だからと言って、淡々と前年度の仕事を繰り返していても、時代の変化や新たな課題に対応できない。さらに、課題解決だけで終わらず「子育て世代に選ばれるまち」になるという目標を掲げ、ありとあらゆる手を限られた予算とマンパワーで打っていかなければならない。

 昨年4月に着任してから、大阪市職員として長年勤めてきた副区長と10名の課長に、そして260名を超す職員に、「未来志向のまちづくり」を訴えてきた。課題解決にとどまらず、生野区に若者や子育て世代が集まり、持続可能なまちになるように。

松竹座の「生野区民優待デー」で、マスコットキャラクターのいくみんと『生野区長役』で舞台にちょい役で出演。想像以上にいろんな仕事があります(笑)。(写真中央が筆者)
松竹座の「生野区民優待デー」で、マスコットキャラクターのいくみんと『生野区長役』で舞台にちょい役で出演。想像以上にいろんな仕事があります(笑)。(写真中央が筆者)