いよいよ開演!今日の演目は?

 9時50分、いよいよ開演です。

【1】太神楽(だいかぐら)曲芸  出演:翁家和助・小花

 まず始まったのは「傘回し」。染之助・染太郎さんの「いつもより多く回しております」でご存じの方も多いのではないでしょうか。和傘の上で毬(まり)、湯呑み茶碗、四角い升などをクルクルと回します。

 お次は「五階茶碗(ごかいちゃわん)」。口にバチをくわえ、その上に茶碗をのせていきます。ただ積み上げるだけではなく、茶碗の間に毬や扇子を差し入れて、積み上げていくのです。崩れやしないかと、ハラハラドキドキ。天高く積み上がったときには、大きな拍手が!

 途中で「お父さんと子どもの傘回し体験」も行われました。お客さんの中から選ばれた父子が、太神楽師の指導の下、和傘の上での紙風船回しにチャレンジしました。「皿回し」には、アンパンマンの回し棒が登場し、小さな子どもも大喜び!

 下の娘が「すごーい!」と感嘆の声を上げたのが、「土瓶回し」。くわえたバチの上に土瓶をのせ、土瓶をクルクル回したり、起き上がらせたり、ジャンプさせたりと、まるで生きているかのような動きに拍手喝采。ジャグリングも披露され、場内は大盛り上がりでした!

【2】落語「転失気」  出演:古今亭菊太楼

 落語は、本題に入る前の「まくら」という導入部分から始まります。菊太楼師匠は、この「まくら」の部分で、「落語の作法」や「こう聞くと楽しくなるよ」ということを話してくれました。落語が初めてという子どもも、ぐっと聞きやすくなる工夫がされています。

 「転失気」は、お寺のお話。「ちんねん」という子どもが出てくるので、子どもたちも親近感を持って聞くことができます。「それは…おならだ」「おなら?」というくだりで、子どもたちは大爆笑でした!

 「おなら」という子どもが喜ぶツボだから笑うのかと思いきや、通常大人が笑うツボでも、子どもたちは大笑い。もちろん、周りの雰囲気でつられて笑っているということもあると思いますが、うちの子たちも、笑いのツボでちゃんと笑えるということが驚きでした。

【3】紙切り  出演:林家二楽

 真っ白な紙をハサミで切り、形を作っていく伝統芸能。二楽師匠が体をゆすりながら、楽しくおしゃべりしながらハサミを動かし、まずは「桃太郎」を切り抜いていきます。

 切り終わると、プロジェクターで大きく舞台上の壁に映して見せてくれます。美しい切り絵を見て、場内からは「おおー、お見事!」という感嘆の声があがります。上の息子は「下書きなしで、どうやって切っているの?」と興味津々。

 うれしかったのは、客席の子どもたちに「何を切ってほしいですか?」と聞いてくれたこと。子どもたちは「はーい、はーい」と喜び勇んで挙手。「高校野球」「幽霊」「ドラえもん」といったリクエストを受けて、1点につき2〜4分ほどで切り抜いてくれます。繊細な線の美しさ、複雑さはもちろんのこと、その構図が素晴らしく、まさに職人の技!

 切り抜いた絵は、リクエストした子どもにプレゼント。息子はこの「紙切り」が楽しかったようで、家に帰ってからチョキチョキといろんな形を切り抜いていました。

【4】落語「青菜」  出演:春風亭一之輔

 トリは、大人気の一之輔師匠! 古典落語にギャグを盛り込んだり、登場する人物を現代的なキャラクターにアレンジしたりする方なので、子どもはもちろん、大人も聞きやすいです。表情も豊かで、植木屋さんが氷をほおばるときの顔やたてる音に、子どもたちは大爆笑!

 「青菜」は、難しい言葉が出てくる古典落語。「鞍馬から牛若丸が出でまして、その名を九郎判官義経(くろうほうがんよしつね)」など、大人でも聞き慣れない単語が出てきます。正直、「うちの子たちには、まだ、分からないだろうなあ」と思っていたのですが…驚いたことに、2人も大笑い!

 難しい言葉が出てくると、一之輔師匠がさりげなく説明を入れます。例えば、「御酒(ごしゅ)はおあがりかい?」「御酒? ああ、お酒ですか」というように、「御酒=お酒」と、分かりやすく言い換えてもらうことで、子どもにもちゃんと面白さが伝わったようです。

 うちの子は、「お前なんか、ぶら下がってもそんなこと、言えねえだろ?」「あたしはコウモリじゃあないからね! 天井からぶら下がらないよ!」という亭主とおかみさんのやりとりで大爆笑していました。動物に例えるのが、子どもには分かりやすく、面白かったようです。

 終わった後、子どもたちに感想を聞いてみると、「分からない言葉もあったけど、すっごく面白かった! また来たい!」とのこと。もちろん、理解できていない部分もあったと思いますが、話の流れで十分に子どもも楽しめるんだなと感じました。