親子寄席のための特別なはからいがうれしい!

 午前9時30分、開場です。場内は天井が高く、どの席からでも演者の顔が見えるような広さ(285席)になっています。各座席には折りたたみテーブルが備え付けてあり、上演中でも飲食自由(持ち込みも自由)。これは、小さな子どもがいるご家庭には助かりますよね。

 来場者に配られたプログラムには、2日間の出演者と演題が明記されています。これは、実は「親子寄席」ならでは。

 通常の寄席では、演題が明記されたプログラムが配られることはありません。というのも、噺家は高座に上がる直前に演題を決めるため(高座に上がって、その日の客の反応を見て、しゃべりながら演題を決める噺家もいるのだそう)、事前に「何の噺をかけるのか?」を知ることはできないからです。落語にあまり詳しくないと、「あの噺、面白かったけど…一体なんていう噺だったのかしら?」と、家に帰ってから検索しなければなりません(検索しても結局分からずじまいのことも多々ありますが…)。

 その点、「親子寄席」はあらかじめ何の演題をやるのか決まっているため、前もって自宅で落語のCDを聴くなど、ある程度予習していくことができます。これは落語を聴くのが初めてという親子には、うれしいですね。

 もう一つうれしいのは、柳家さん喬師匠、春風亭一之輔師匠と、出演するメンバーがすさまじく豪華なこと! 中でも春風亭一之輔師匠は、21人抜きで大抜てきされて真打に昇進した、今最も注目されている噺家の一人。39歳で3人のお子さんを育て、洗濯から幼稚園の送迎までこなす“イクメンパパ”としても知られています。落語通の大人も聞きたい大人気の噺家が登場するので、私も、落語好きのパパもワクワクです!

 立ち見のお客さんも多く、既に満席のため、開演前に「寄席を楽しむための鳴り物講座」が始まりました。寄席では、三味線や太鼓などの「鳴り物」が使われます。例えば、噺家が高座に上がるときに「出囃子」という音楽を流すのですが、寄席では音楽はすべて生演奏。三味線や太鼓を子どもたちの目の前で鳴らし、「鳴り物の役割」や「どんなことを表現しているのか」などの解説を聞くことができました。大人の私も知らないことばかりで、興味深かったです。