教育社会学者の舞田先生が統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。記念すべき第50回のテーマは、共働き家庭で、夫がどのくらい家事・育児を分担しているかです。女性の活躍促進や待機児童解消の取り組みが叫ばれた過去5年で、夫の分担率はどのくらい伸びて、妻の負担はどのくらい減ったのでしょうか。夫婦で何かともめるこのテーマ。よその家はどうなのか、ぜひ参考にしてください。

夫の家事・育児分担、どのくらいですか?

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。先月、2016年の『社会生活基本調査』の生活時間統計が公表されました。1日あたりの各種行動の平均時間が分かる、スグレモノです。

 共働き夫婦の家事時間が何分、育児時間が何分、という情報も知ることができます。これをもとに、夫の家事・育児分担率を計算してみようと思います。皆さんの家庭はどうですか。「夫4:妻6」くらいですか。これは見上げたものですが、「夫1:妻9」のような場合は、妻の不満が爆発する可能性が高くなるでしょう。

 観察対象は、6歳未満の子がいる共働き夫婦です。手のかかる乳幼児がいる夫婦ですが、夫婦の家事・育児時間の合算のうち、夫がしている分が何%を占めるか。これが、家事・育児分担率の概念です。

 『社会生活基本調査』は5年間隔ですので、前回調査(2011年)のデータとの比較をしましょう。この年以降、女性の社会進出の促進と並行して、男性の家庭進出(家事・育児参画)を促す取り組みもなされてきました。はて、その成果が見られるかどうか。

夫の家事・育児時間は微増し良い方向に

 では、原資料から採取したデータをご覧いただきましょう。各曜日の1日あたりの平均時間です。

 平日と土日をひっくるめた週全体の数値をみると、夫の家事・育児の平均時間は、2011年が54分、2016年が67分です。13分増えています。妻のほうは、329分から327分へと微減しています。

 その結果、夫の分担率は14.1%から17.0%と、ちょっと上がっています。家事・育児の8割以上を妻がやっている状況は変わりませんが、良い方向に向かってはいるようです。曜日ごとにみると、土曜日の増加幅が大きくなっています(21.0%→25.1%)。完全週休2日制の普及により、土曜の仕事時間が減っているためでしょう。