トップは東京 最下位は福岡。大阪は増加ポイント1位

 これは全国のデータですが、続いて、47都道府県のデータもみてみましょう。結論を先取りすると、この5年間の変化は県によって多様です。全国トレンドより増加が顕著な県もあれば、悲しいかな、夫の分担率が下がってしまっている県もあります。

 週全体でみた1日あたりの平均時間をもとに、47都道府県の夫の家事・育児分担率を計算してみました。先ほどみたように全国値は2011年が14.1%、2016年が17.0%ですが、県別にみるとかなりの地域差があります。

 黄色マークは最高値、青色マークは最低値です。2016年でみると、最高は東京の25.2%、最低は福岡の9.6%となっています。東京の夫の分担率は4分の1ですが、福岡は10分の1未満です。

 この5年間の変化をみると、東京は16.7%から25.2%と、かなりアップしています。全国トレンドの伸び幅を大きく上回っています。47都道府県中の順位も、10位から首位に躍進。逆に陥落が大きいのは、2011年にトップであった島根です。22.4%から13.2%に下がっています。

 はて、この分岐は何によるのか。夫の仕事時間の変化でしょうか。同じ属性の男性(6歳未満の子がいる共働き夫婦の夫)の平日の仕事時間をみると、東京は2011年の573分から、2016年の529分へとかなり減っています。島根は、488分から534分に増えています。なるほど、合点がいきますね。

 ただこれは両端で、仕事時間の変化と、家事・育児時間のそれとの間には、有意な相関関係はありません。両方とも減っている県もあります。「男性が家事をしない要因は、仕事時間だけではない」と言いますが、他にもファクターはあるでしょう。

 赤字は、良好なアチーブメントを出している県です。2016年の数値が全国値(17.0%)より高く、かつ、この5年間で5ポイント以上伸びている県です。この基準で「優良都県」と判定されるのは、青森、福島、東京、新潟、兵庫、奈良、山口、宮崎、沖縄の9都県なり。大阪も頑張っていて、この5年間の増加幅は全国で最も大きくなっています(6.7%→15.5%)。最下位脱出です。

 「優良都県」に問い合わせてみたところ、福島県では2015年に知事がイクボス宣言をし、トップが率先して、育児参画を呼び掛けているようです。沖縄県の男性の育休取得率が4.8%(2016年 2000社を対象とした調査)が、全国平均の3.16%(2015年 厚生労働省調査)と比べて高いのも目立っています。9都県に共通した取り組みは、ワークライフバランスの推進、イクメン・イクボス養成のための企業への働きかけ、父親に向けたセミナーや育児教室の開催でした。しかしこうした取り組みは、「優良都県」以外でも行われているので、それだけが原因とはいえないでしょう。