増える子どものアレルギーやアトピー。まだ話せない0歳、1歳だからこそ、ちょっと口に入れた食べ物でアレルギー症状が出てしまうのが不安という人も多いでしょう。しかし、最近の研究で、これまで都市伝説のように言われてきたアレルギーにまつわる様々なことが、実は違っていたという結果も出ているとか……。保育園入園を前に、最新状況を国立成育医療研究センターで小児科でもアレルギーを専門としている福家辰樹先生に伺いました。

【年齢別特集 妊娠・育休】
(1) 秋冬生まれベビーの保活と入園準備
(2) 保育園申し込み直前! 知っておきたい基礎知識
(3) アトピーと乳児湿疹の違いは、かゆみの有無 ←今回はココ!
(4) 入園準備 0~1歳でもアレルギーチェックは必要?

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

日本にだけ存在する「乳児湿疹」?!

 「妊娠中に牛乳を飲み過ぎたから、赤ちゃんがアトピーになった」
 「いろんな食べ物を早く食べさせ過ぎたからアレルギーになった」

 そんな都市伝説のような噂に惑わされてはいないだろうか? 

 現在0歳で、離乳食進行中の我が子を持つ筆者も、他のママや親世代から言われたこんな言葉を信じ、ビクビク離乳食をあげている母親の一人である。そんな不安を国立成育医療研究センターで小児科でもアレルギーを専門としている福家辰樹先生に直接ぶつけてみた。最初は、出産直後から気になっていた、乳児湿疹とアトピーの話題から。

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福家先生
福家先生

―― 乳児湿疹とアトピーはどう違うのでしょうか?

福家先生(以下、敬称略) 乳児期に湿疹があれば、乳児湿疹ではないかと誰もが疑いますよね? 放っておいたらアトピーになってしまうんじゃないか、と。

 でも、そもそも“乳児湿疹”という言葉を曖昧に使うのは、日本特有の傾向なんです。それとは別に“アトピー性皮膚炎”という言葉もあり、診断基準もあるので、日本では乳児湿疹という言葉で診断をつけて、アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)だと言わないという傾向があるのです。お医者さんでも、乳児湿疹とアトピーの違いが分かっていない人も実は多いのです。

―― では、海外であれば、アトピーだと診断されるケースもあるということですか?

福家 そうなのです。とても多いでしょうね。 

 日本では「アトピーというとかわいそうだ」とか「お母さんが心配し過ぎちゃうのではないか」といった様々な理由があって、アトピーだと診断しないのではないかと思います。でも、実際にアトピーだと診断されても小さいころのアトピーはだんだんと皮膚が強くなるにつれて治っていくことも多いのです。だから、乳児湿疹という診断を出してしまいます。

 しかし、アトピー性皮膚炎は、人によっては適切な治療をしなかったがために皮膚の症状は治ってもアレルギーの体質自体は悪化して一生モノになってしまう、ということも分かっているのです。だから、赤ちゃんのときに自然に治る湿疹であっても、ある程度ちゃんと見分けをつけてあげたほうがいいのではないか、という考え方が出てきています。

 今年6月に、「鶏卵アレルギー発症に関する提言」が、日本小児アレルギー学会によって発表され、その内容が今注目を集めています(関連記事参照 「食物アレルギー最前線! 予防につながる新説とは?」)。この主旨は、“食物アレルギーになりたくないからと、ある食品を完全に除去していると、むしろアレルギーになりやすい”ということが研究で分かったということです。

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<次ページからの内容>
・ アトピーかどうかの分かれ目は「かゆいかどうか」
・ 赤ちゃんのどんな仕草から「かゆい!」が分かる?
・ 湿疹は食べ物のせい?