ママはパパのいいところを褒め、パパは全力で遊んであげる

 そして、5~6歳からは、「本当の強さとは何か?」ということをきちんと教えていきたいですね。それまではテレビに出てくる「○○マン」が強い、という単純な世界に生きていたとしても、「一番ってなんだろうね?」「ずるをして一番になるのは本当の一番なのかな?」「お弁当をお行儀悪く食べて、一番になってもしょうがないよね」というようなことを、色々な場面でよく話し合いましょう。

 また、ママが男の子の子育てにおいて一番できることは、「パパがかっこいい」ということを照れずに伝えることです。今はそんなことは言いたくないという気持ちのときも、あるかもしれませんが(笑)、お子さんが小さいうちにきちんと努力をしておくことが、後々の子育てに影響してきます。憧れのヒーローや目標があれば頑張れるのが男の子です。もし、パパがいらっしゃらなければ、おじいちゃんや親戚のおじさん、少し大きくなれば、お稽古事の男性の先生でもいいのです。

 すてきな年上の人、憧れの人がいることが大切です。いつかは、「たいしたことないじゃん、おやじ」というときが来るかもしれませんが、幼児期に「この人にはかなわないな」という感覚を持ったお子さんには、どこかでパパへの尊敬が残ります。ママにも気持ちの波があるかもしれませんが、「父親を精神的不在にしない」よう、「パパのこんなところがすてき!かっこいい!」ということを伝えたり、パパのことが大好きだという姿勢を子どもに見せることが大事です。

 一方のパパにできることは、「お子さんと本気で一緒に遊ぶ」ということです。特に男の子は、同じ行動をする人が仲間だと感じますから、一緒に体を動かしたり、知恵を使ったりして好きなことに付き合ってあげることが信頼関係を築くためには大事です。遊びの中で「パパってすごい!」と思わせることが、パパの言うことをしっかり聞ける子になるための第一歩です。

 男の子は異性であるママにとっては、理解できなくて大変に思うこともたくさんあるとは思います。でも、虫捕りを楽しんだり、恐竜や電車博士になるなど、男の子を授からなければやらなかっただろうこともたくさんあり、その中で、パパやママ自身も成長しているはずです。

 けがをしたり、何かを壊してしまって頭を下げたり、大変なこともたくさんありますが、いい意味で忍耐力もつきますし、胆力も鍛えられます。私は、そんなママたちを「選ばれし勇者よ!」と励ましたりもしています。ぜひ、お子さんと一緒に自分自身が成長することを楽しむ気持ちで向き合ってもらえたらと思います。

(写真/鈴木愛子)