「自尊心」を傷つけないような言い方を心がけて

 「マイナスの感情が湧いてきたときにどうすればいいか」ということも、男の子に忍耐強く伝えていきたいことの一つです。

 「やんちゃですぐに手が出る」というお子さんに、手が出てしまってから叱っても、その行為をより強く意識付けしてしまうことにつながります。できるだけ誰かをたたいてしまったりする前に、「この手はどうするの?」「嫌なら言葉で言ってごらん」と言葉で気持ちをコントロールすることを伝えていけるといいですね。

 もう一つ、大切なのは、周りの大人が普段どんなコミュニケーションをしているか、ということです。考えるよりも先に行動してしまうお子さんに「コラ!」としか言えない、大人もついカッとして叱るより先に手が出てしまった……など、言葉でコミュニケーションする環境になっていないことがあります。お子さんの行動には、資質と環境が影響していますから、ぜひ一度振り返ってみてください。

 「甘えん坊ですぐに泣いてしまう」というお子さんにも同じように、泣く前に「泣くことじゃないよね」「今どんな気持ちなのか言ってごらん?」と感情を言語化することを伝えていきましょう。気をつけたいのは、大人のほうが泣いているお子さんを見て「大丈夫?」とおろおろしたり、「かわいそうに」と必要以上に感情移入してしまうことです。お子さんにとって乗り越えていくことも大切な経験だと自分に言い聞かせ、時にはクールに対応することも必要です。

 どちらも時間のかかることですが、言葉で感情をコントロールできるように、できるだけ幼いうちに丁寧に向き合い、対応していきたいですね。

 また、男の子の子育てで最も気をつけたいのは、「自尊感情を傷つけない」ということです。

 例えば、「○○くんはできてるのに」「あなたってダメね」「なんでそんなことができないの?」という言葉はお子さんの自尊心を大きく傷つけてしまいます。こういうことが続くと、「自分を傷つける人の言うことは聞かない」となり、エスカレートするとふてくされる、ということにつながっていきます。幼児の間はまだしも、小学校中学年くらいになると、まったく言うことを聞かなくなってしまいますから何よりも気をつけたいことです。

 さらに、「男の子なのに、虫が嫌いなの?」「勉強さえできていればいい」などの言葉は、大人の一方的な価値観を押し付けてしまうことになります。例えば勉強ができなかったときに「でも、自分はスポーツが得意だから大丈夫」とは考えられずに、「本当に自分はダメな人間だ」と考えるようになってしまいますので、気をつけたいところです。

 大人も感情的になり、ついつい言い過ぎてしまうこともあると思いますが、そんなときには「言い過ぎちゃってごめんね」「頑張ってできるようになってほしいから」など、必ずフォローしてください。