きょうだい関係は人格形成に大きく関係すると言われています。先天的な元の性格に、人間関係によって後天的な性格がプラスされて、その人の人格を作っていくと言われます。第1回「おとなしい子もハキハキ発言できる3つのルール」では、人前で発表するときには、引っ込み思案な性格でもテクニックがあれば克服できるというお話でした。さらに今回は、きょうだい関係からできあがる性格別に、どのように教えたら「ハキハキ発言」テクニックが実践できるようになるかをお伝えします。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美さんから教えていただいたきょうだいによる性格の違いや親の接し方のアドバイスをもとに、KEE’Sの野村絵理奈先生にお話を聞きました。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ】
(1) おとなしい子もハキハキ発言できる3つのルール
(2) 家庭でできるプレゼン力養成 生まれ順で方法が違う ←今回はココ
(3) モンテッソーリ 小学生の集中力とやる気が向上
(4) 低学年のモンテッソーリ 子が伸びる家庭での関わり

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

きょうだい構成によってできあがる性格の傾向

 6000人の子どもたちを見てきたチャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美さんによると、「としの差、きょうだいの人数も影響するので、一概には言えませんが、きょうだい関係はその子らしさに影響する」のだそう。それぞれどのような「らしさ」があるのか、山本さんに聞いてみましょう。

 一般的に、長男・長女は、手がかかるといわれますが、その理由は、待望の第1子が生まれ、親自身も慣れない中、一心に、丁寧に育てた結果です。家族に子どもがひとりしかいない中で十二分に手をかけたので、手のかかる子になっているとも言えますね。これは悪いことではなく、第1子はお世話してくれる人がたくさんいたわけですから、ある程度仕方がない部分もあるということです。

 一方で、第2子以降は、生まれたときから上に兄・姉がいるので、自分にだけに十二分に手をかけてもらうことは、生まれたときから難しいわけです。ですから、「あまり手をかけていないのに期待に応えてくれる」というふうに、ママたちには映ります。ねんねがひとりでできる、支度が自分でできる、靴も履ける…といった具合に、「手がかからない」と親が感じるのはこういったわけです。

 でもこれは、お兄ちゃん、お姉ちゃんを見ているから、覚えて自分でやれるようになったのです。「自分でやったら褒められるから、どんどん自分でやるようになる」と、自発的に行動するようになっていった結果です。

 また、往々にして、第2子のお子さんは機嫌が良いものです。「弟(妹)は、いつも機嫌が良いんです」とママやパパはうれしそうに話してくれますが、第2子にとっては、ニコニコしないと見てもらえないから、アピールすることを覚えているだけ、とも言えるんです。

 第1子、第2子以降の性格の違いから、さらに兄×弟、姉×妹、兄×妹、姉×弟、それぞれの組み合わせごとに、性格形成への影響を山本さんは以下のように分析しています。

<兄>
●弟がいる
 自分がしっかりしなければという気持ちが強く、強がることもある。得意なことを追求したい傾向があり、マイペース。自己表現が下手な一面も。
●妹がいる
 妹に対して優しいお兄ちゃんでいたいという気持ちがあり、女性に対して優しさが表に出やすい。親から見ると手がかかるように見える場合も。

<弟>
●兄がいる
 兄が怒られているのをよく見ているので、相手をよく見て行動し、要領がいい。チームプレーを得意とする場合が多い。兄をライバル視することもある。
●姉がいる
 要領がよく、愛想もいい、笑顔で殺せるタイプ。姉を見ているので女性の起伏の激しさに慣れていて、左右されにくい。

<姉>
●弟がいる
 面倒見がいい。弟の世話をするため、弁が立つ場合も。もうひとりの母的な存在になる傾向がある。
●妹がいる
 お姫様願望が強く、しっかり者。真面目でしっかり考える。ちゃんと人の話を聞く。

<妹>
●兄がいる
 よく笑う、伸び伸びしている。兄についていくので活発になる場合が多い。
●姉がいる
 快活で自分の主張がハッキリしている。我が道を行く自由奔放タイプ。頑固な面も。

<次のページからの内容>
・ きょうだい構成による性格による発言の仕方の傾向
・ 兄・姉・弟・妹別「プレゼン力」養成のために、言っていいこと・悪いこと
・ どんな性格でも、話し方の否定は絶対NG。褒めて伸ばす、が大前提