無学年制の算数タブレット教材「RISU」を提供するRISU Japan共同創業者、加藤エルテス聡志さんの新連載。今回は、加藤さんが東京大学時代から親しくしているチームラボ代表の猪子寿之さんを訪ね、対談した様子のリポート第2弾です。前回記事「猪子寿之 都会の森で遊び、空間認識力を身に付けて」で「世界というのは、意思を持った身体によって自ら入り、全部は変えられないけど、ほんのちょっとだけ変えられるという体験をしてもらいたい」と熱く語った猪子さん。猪子さんが考える教育とアートの関係性を聞きました。

今の学校の教育プロセスは全部オンライン化すべきだ

日経DUAL編集部(以下、――) 渋谷ヒカリエで開催されていた「チームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地」では、「空間把握力といった力が伸びる」といった解説が付け加えられているのを見て驚きました。作品に教育的な観点を持たせているのが、意外だなと感じました。

加藤さん(以下、敬称略) そういった教育的な「狙い」が先にあって作品を作っているの? それとも、もともと作ったものの効用を後から付け加えるのかな?

猪子さん(以下、敬称略) 作った後に説明をつける。そういった説明を載せているのは、「学ぶ!未来の遊園地」という一連のプロジェクトの作品なんだけど、「未来の遊園地」のプロジェクトは、今の教育では大事にされていないけど、今後の社会のことを考えると伸ばしてほしい力が、遊びを通して楽しむことで伸ばせたらいいなという教育的なプロジェクトでもあるんだ。

 例えば、「身体で世界を認知する」というのが、今の教育プロセスには入っていないと僕は感じていて。逆に言うと、今の教育プロセスというのは、ほぼ全部オンライン化すべきだと思ってる。逆にリアルな学校は、我々が創っているような場所になるべきだ、と。

 数学とか物理とかはオンラインで勉強すればいい。昼間、子どもたちは我々が創るような空間に来て、「世界っていうものは他者と共に自ら創るものだ」ということを学ぶ。だって、世界っていうのは過去の人が発明したものをただ学ぶ場ではなくて、自ら創るものだ、という体験をしたほうがいい。自ら意思のある身体によって世界に入り込んで、全部は変えられないけど、ほんのちょっとだったら変えられるっていう体験をしたほうがいい。