子どもを社会の堂々たる一員だと、世に知らしめよう

 でもって、子どもを人々の目に見える存在にしてほしいのだ。子どもはじっと座っていられないものだし、しゃべるものだし、泣くものだし、ベビーカーはかさばるものだし、子連れは荷物が多いものだということを、広く世間に知らしめてほしい。そして私たちの社会には、大きい人も小さい人も、子育てする男も女もいるのだというあっったり前のことを、多くの無関心な人たちに気づかせてほしい。

 もしも不慣れでも、あなたなりのやり方でおおらかにやればいいのだ。子育ては遠慮しいしい誰にも迷惑をかけずにやるべき、なんていう非情な空気を読まなくていい。そして、あなたの子どもは誰のオマケでもない、この社会の堂々たる一員なのだと世に示そう。

 マナーの悪い親が!偉そうな子連れが! という声にも動じないでいい。当然ながらそれは子連れが悪いのではなく、一部の行儀のなっていない人や、態度のでかい人が悪いのだ。子連れバッシングをする人はただ、叩く理由が欲しいだけだ。

 そして女たちよ。夫のユルい子連れっぷりに、どうかダメ出しするなかれ。彼らはハードルを下げてくれている。子連れを「アリな存在」にするための布教活動をしてくれているのだ。同じことをしてもなぜ女だけが責められるのか、腹に据えかねる思いがあるのはわかる。だけどそんな現実を手っ取り早く変えるには、「男のやることだけがおおやけ」と考える世の石頭たちの習性を逆手に取るしかない。

 手厳しい育児ポリスのみなさんも、子連れ狼は男だからと大目に見るだろう。ならば同じ眼差しを、「すみません」が口癖になっているママたちにも注いであげてほしい。母性を祭り上げる気持ちの奥底に、女には枷(かせ)をはめても構わないという侮りがないか、よくよく検分してみてほしいのだ。