これは学校に行きたくても行けない、不登校の子どもたちも同じです。様々な色の個性がある中で、生きていくのに「普通はこうでなければならない」という呪縛された感覚があるのではないでしょうか?

 発達の凸凹のある子どもたちを支援している尊敬する先生の言葉に「グレーっていう表現は良くないような気がするな。もっと違う表現だと、虹色だな~」なんておっしゃっていました。私もその通りだと思います。虹の色も赤に近いオレンジだったり、黄色に近い緑だったりするように境界線が曖昧。そのグラデーションが美しかったりしますよね。そこをジャッジのための法律や制度のために色分けすること。ここで自分の子どもの色が固定して、そのようにしか見えなくなる、という落とし穴のような感覚があるようにも思います。

 わが子の色も虹色の中で変化しながら伸びていく。私はよく命の種の話をします。自分はバラが咲くと思って育てていたら、タンポポだった。根っこが深くて明るい色で! そんなその子らしさを親自身が認めることが何よりも重要です。

子どもの自立に向けて 様々な相談先やサポートを受けることが大切

 虹色の個性のなかで、親自身が努力や伴走をしていっても、すべてをサポートすることができないのは当たり前です。将来の子どもの自立に向けてできることを増やしていくために、たくさんのサポートを受けることが大切だとも思っています。

 子どもの成長・発達に不安をもったときの相談先を選ぶには色々な情報がありますが、まずは学校の先生に学校での様子を聞いていくこと。また、お住まいの自治体の教育委員会の相談機関もありますし、民間機関でも相談できる場所があります。文科省でも相談先のHPなど掲載しています。

 一つ言えることはネット上の情報を信用し過ぎないで、自分の声、子どもの姿を見てもらうことがとにかく重要です。情報が溢れ過ぎて、自分で子どもの個性の色を固定してしまうと、本来大切な他のことが見えなくなり、深い落とし穴に入っていくような感覚になります。

 様々な人に相談することもおすすめです。特に、専門家の方の意見も参考にしながら、色々と子ども自身とも対話を重ねてどうしたらいいのかを一緒に考えていきましょう。

わが子の凸凹 子どもにどう伝えるか?

 もし気がかりがあり、相談をして何かしらの凸凹があった場合に子どもたちにどう伝えるかも迷うかもしれません。これに対する正解はありませんが、私の考えとしては、「苦手なこと、得意なことを共に知ることがその子の将来を創るプラスになる」ということをお伝えしたいです。

 自分の凹凸を自覚することで、お子さん自身も色々なことを考えると思います。その中で、とても大切なのは「得意なこと」「大好きなこと」「あるがままのあなた」をたくさん花マルにしていっぱい心を抱きしめることだと思っています。

 人としての存在価値についての考えで、心理学でbeing、doing、havingという考えがあります。beingは「あるがまま、生きているそのものの存在」、doingは、例えば学校に行く、行かないなどの「やるべきこと、行動」、havingが「持ち物や学歴、成績や成果や結果」のこと。このうちの生きる根っことなるのがbeing。いろんな凸凹、いろんな色、いろんな個性でも、「being」をとことん認めてあげることが重要です。

 生きる力において、スキルももちろん大切ですが、そのベースとして、ありのままの自分の命を肯定する力が大切。それは、正解のない社会を生きる現代の子どもたちに最も必要な部分だと私は考えています。そうやって、自分自身を肯定できたときに、他者に対しても親和性をもって関係が作れるようにもなるのです。

周囲は「支援」というスタンスより「応援団」になってほしい

 わが子のことだけでなく、クラスの子やお友達になった子の発達のことが気がかりで…、ということがあるかもしれません。そういうときはぜひ、そのお子さん自身の得意なことを見つけてみてください。そして、そのことについて声をかけてあげてください。

 その中で例えば困った様子が先行していたり、その子自身が悩みを抱えている様子が見られたりするようでしたら、少しでもお話を聞いてみましょう。

 子どもたちが自分の凸凹で心が不安になったときに、話を聞いてくれる大人は何よりも心強い存在です。得意なことを認められる体験は、自信や自己肯定感につながります。得意なことを認めていく丁寧な声掛けから、その子本来の良い面がたくさん表れてきます。そのうえで、やっぱりもっと寄り添いや支援が必要かもしれないと思ったら、先生に声をかけてみるという選択肢も出てきます。

 保護者自身も悩みを持っているかもしれません。凹凸に限らずですが、ご縁のあったお子さんのいいところは積極的に伝えて、「みんなで見守り育てる」という意識を持ちたいですね。気がかりなことを共有し、一緒に考えるサポーターとしてその家族の応援団になってもらえたらうれしいです。