住宅ローンや保険、投資など、DUAL家庭に身近なマネーのテーマを分かりやすく解説するFP中嶋よしふみさんの人気連載「世間まるごとHow much?」。9月号では、マンションや家の購入を実際に検討しているDUAL夫婦2組が中嶋さんにお悩み相談する「住宅ローン相談室」の模様を、スペシャル特集として5回にわたってお届けします。2組目の相談者は、貯金がたまらない、家計がなぜか苦しい、という悩みを抱えています。現状について詳しく聞きながら、そうなってしまっている構造を解き明かします!前回の記事の解決編です。

【住宅ローン相談室 特集】
第1回 中目黒で高級マンションの購入に迷う夫婦の家計診断
第2回 42歳の夫婦は7500万円のマンションを買えるか
第3回 月6万円の保険料は不要?住宅ローン前に見直し
第4回 年収1400万円で赤字?黒字?袋分けで大混乱の家計
第5回 【解決編!】世帯年収1400万円の家計管理が大混乱   ←今回はココ!

レジャー費は積み立てる必然性がない?

■年収と勤務先
(34歳) 900万円(手取り額675万円) 大手IT企業 通販事業
(33歳) 給料と各種手当で手取り310万円(今年の見通し額) 大手アパレル企業 EC部門
※妻は育休中で、今年は途中から産休に入り310万円、フルタイム勤務時は500万円ほど。来年4月に復帰予定。

■家庭の状況
結婚4年目。3歳と0歳の女の子が2人。3人目も欲しい。

■現在の住居
東京・代々木上原の一軒家。昨年8000万円で購入。ローン返済額は月額15万円。

■資産
現在の貯金額 500万円
持ち家 ?万円 (評価額不明)
年間の貯金額 0円? (住宅購入前は毎月20万円くらいためられていた)

■レッスン・相談の内容
住宅購入以来、貯金がほとんど増えない。今後、下の子どもを保育園に預けると赤字になるのはほぼ確実。

■家計管理の方法
家計簿はつけていないが、予算の管理をエクセルで計算して、袋分けで行っている。一部、家計簿アプリも利用。

中嶋(以下、中) 相談内容は貯金がなかなか増えない、だから住宅ローンの繰り上げ返済の原資がためられない、とのことでしたけど、事前にいただいた予算配分表を見ると、貯蓄はしてますよね。レジャー費とか繰り上げ返済用とか教育費とか……。あと、エクセルでいただいた予算表は収入、貯蓄、支出の順に並んでいます。一般的には収入-支出=貯蓄、となりますのでその順番で書いたほうが分かりやすいと思いますが、何か理由でも?

 それは収入から貯金を先取りして、残った範囲内でやりくりする、という流れでそうしてます。これまでは、貯金を先取りして生活費を払って、それでもまだ余っている状況、つまり黒字だったんです。でも今はそこが赤字で

 うーん、さきほどお話ししましたけど、細かくやるとかえって全体が見えなくなるという状況に見えますね……。貯蓄は実際ゼロではないわけですよね。

 支払いに備えてためていて、実際にはすぐに使ってしまう状況なので、あまりプラスという感じではないです。

 貯蓄の項目を見ると、レジャー費、教育費、iDeCo(個人型確定拠出年金)、固定資産税、修繕費、繰り上げ返済、と積み立て項目だけでも6つにも分類されている。

 ここまで細かく分類してる理由は何かありますか? あ、もしかしたら口座も分けていたりしてます?

 ハイ、教育費とレジャー費は別の銀行に入れてます。今までは封筒に現金を入れる際にATMから引き出しをしてましたので、そのときに引き出した中からそれぞれ積み立て用の口座にお金を移してました。

 それもかなり袋分けと並んで面倒ですよね。

 すごく面倒です。ただ、これも食費と同じで、別の口座にしておいたほうが何のためにいくらたまってるのか、はっきり分かるのでよいと思っていたんですが……。

 この中で実際に積み立てといえるのは教育費と修繕費と繰り上げ返済用の3つくらいですよね。将来の修繕とか繰り上げ返済のために積み立てるのは分かるんですが、レジャー費とか固定資産税は年内に使ってしまうので、積み立てる必然性があるのか、という気がするのですが。

 レジャー費は月5万円で年間60万円ためてますけど、別にしておかないと100万円とか使ってしまいそうなのでそうしてるんですけど、意味ないですか?

 ああ、なるほど。何となく分かりました。これも発想としては袋分けと同じわけですね。面倒でなければ続けてよいと思うんですが、手間がかかるのと、レジャー費を支払う際にこの口座からお金を引き出す手間がかかるわけですよね。どっちにしろ近い将来に使うのであれば、ためる段階ではなく使う段階で60万円まで、と決めておけば問題ないと思いませんか? 教育費みたいに将来発生する高額な支出に備えてお金をためるのはまだ分かるんですが、レジャー費とか固定資産税のために口座を切り分ける必然性はほとんどないと思うんですね。

 家計簿アプリなら、自身で項目を作ってそこに支出をまとめてしまうことも可能だ。レジャー費という項目を作って、食費も交通費もすべてそこに分類を変更してしまえば、例えばゴールデンウィークが終わった時点でいくら使ったか、夏休みが終わった時点でいくら使ったか、という形で把握が可能になる。

 現状で貯蓄といえるものは、すぐに使わない教育費と修繕費と繰り上げ返済用の積み立てですね。あとはiDeCoは老後のための貯蓄です。運用方法は別にして、広い意味で資産形成です。これに毎月の生活費の余りである4万円も加えると、今の時点では全部合わせて毎月18万円はためていることになります。以前は毎月20万円ためていたのにそれが激減した、というのは生活費の余りが20万円だったものが4万円に減ったから激減しているように見える、ということなんですね。で、これが時短勤務での復帰後にマイナスになってしまうので「赤字」と表現していると。

 そうですね。どうして減ったのか分からないんですが……。

<次のページからの内容>
・貯蓄率は低くない。でも苦しいのはなぜ?
・よその人はどう家計をやりくりしているの?
・手取りから基本的な生活費を差し引いた額=自由に使えるお金
・繰り上げ返済と3人目の子どもは?
・中学から私立だと、公立に比べて年間約100万円上乗せ

相談者募集!

 中嶋よしふみさんの記事に出ていただけるご夫婦を募集しています。相談は中嶋さんが対応します。料金は不要です。通常の有料相談・レッスンと変わりなく、下記の掲載例にあるように疑問や不安が消えるまでとことん対応するスタイルです。繰り上げ返済など住宅ローンを中心に、保険、家計、資産運用などについての相談を募集します。対面でレッスン・相談を行い、執筆の参考にします(記事は個人が特定できないように配慮します)。過去に一度応募いただいて取材記事の対象にならなかった方のご応募も可能です。詳細は、以下のご応募ページをご覧ください。

■応募締め切り: 2017年10月4日
(レッスン提供は10月中を予定。日時は相談のうえ調整させていただきます)

■掲載例: 「世帯年収1350万円でも住宅購入を迷う夫婦の理由(上)
住宅購入後の出産で年間200万円の貯金取り崩し?(下)

■ご応募ページ: http://sharescafe.com/free_9_124.html