家計簿アプリは企業の会計ソフト並みに高機能?
中 なので特に問題はないと思いますがどうでしょう? 家計簿もほぼ自動で作ってくれますから、非常に便利です。
妻 ……えーと、今の話だと、10月4日に家計簿上ではお金が減ってるんですよね。でも銀行口座から引き落とされるのは翌月末なんですよね。そのズレはどうなってるんですか?
中 まずはカードの利用額として一旦計上されます。例えば1万円のものを買った場合、10月4日の時点でカードの利用残高、つまり借金として計上されます。銀行口座の額は変わりません。で、11月末の時点でその借金を返すので、カードの利用残高はゼロになって、その分だけ銀行口座からお金が減るという流れです。マネーフォワードの仕組みも実をいうと企業が使っている会計ソフトと全く同じ仕組みです。
夫 ああ、なるほど。買掛金とか負債の扱いですね。
中 そうですね。旦那様は多分、簿記・会計の知識をお持ちなので分かったと思いますけど、これは企業会計の考え方なんです。例えば貯金が500万円だったら、10月4日の時点で貯金額は変わりありませんけど、借金(負債)は1万円です。ですから実質的な資産は「500万円‐1万円=499万円」で、これを会計用語では純資産(以前なら自己資本)と呼びます。これもマネーフォワード上でバランスシートとして確認できます。
妻 結構すごいんですね。
中 家計簿アプリではあるんですけど、会計ソフト並みに高機能です。これが無料で使えるので、使わないともったいないです。
妻 使います。
中 あれ、大丈夫ですか(笑)。家計簿アプリの利用はかなり嫌がられるかなと思ったんですが。
妻 もう袋分けは嫌です(笑)。それがやめられて、必要な部分だけ現金で管理できるなら、それでいいです。
細かく管理しているのに、なぜ貯金できない?
中 家計簿アプリを利用した家計管理は、結局どこまで厳密にやるか?という話になります。正確にやろうと思えばいくらでもできますけど、多少ズレが生じてもいいくらいのスタンスで構わないと思います。
妻 そうなんですか?
中 細かく管理しているのになんで貯金がちゃんとできないんだろう?というのが相談したいことでしたよね。これは逆で、細かく管理しているから貯金ができないんです。
妻 そうなんですか!?
中 ハイ、細かく管理するほど全体像が見えなくなります。今は家計簿をつけるのでなく、予算管理をしてそれに支出を合わせる、という形を取ってますけど、それでも同じです。細かく予算を分類することで訳が分からなくなってる部分はありませんか? どうしても削れない生活費と、お小遣い的な支出はパッと見で把握できますか?
妻 生活費とお小遣い……把握できてないです……。
中 ざっくりと配分している予算管理でもそうですから、日々の支出を細かく管理してもほとんど意味がないんですね。これは特集1回目の記事でも説明していますけど、お二人の場合も同様です。生活費、お小遣い、貯金くらいの分類で十分です。(参考記事:「中目黒で高級マンションの購入に迷う夫婦の家計診断」)
夫 細かく管理するほど訳が分からなくなる、全体像が見えなくなる、というのは確かに今そうなってます。なんでこんなに我慢してるのに貯金が増えないんだろう?というのは理由が全然分かりませんから。
中 というわけで、ここまでの話が家計管理の「やり方」の話です。ここから実際に貯金のたまり具合がどうなっているか、ためられない状況を確認したいと思います。
――さあ、次の第5回はいよいよ【解決編】です!
■第5回 【解決編!】世帯年収1400万円の家計管理が大混乱
(イメージカット/鈴木愛子)